このシステム開発では基本設計期間の延長につぐ延長という出来事がこのプロジェクトの本質を物語っていたと感じています。4月にシステム開発を請負った事業部の事業部長がわざわざ顧客を電撃訪問して基本設計の遅れは全て顧客側にあると一方的に宣言していたものの、そういう危惧を請けたベンダーが本当に理解しているならば、普通なら何とか対策を考えて出して改善をするのだろうと思ったのですが、システム開発を請負った事業部の事業部長やプロジェクトマネージャーひいては後ろ盾となっていた常務などからからは何の対策が出なかったものと見えて、プロジェクトはだらしのない自然体でだらだらと毎週会議で仕様書の修正が遅れていると報告がされるだけでした。
基本計画フェーズで、元請の事業部のシステムエンジニアがきちんと業務を理解して大筋の流れを理解していれば、基本設計の個別の仕様書の中身もそれほど時間をかけることなく決めることが出来たと思いますが、システム開発を請負ったシステムエンジニアは口先がえらく滑らかで自身の仕事の出来栄えは棚の上に上げてシステムが開発出来なくなるぞとばかりに、少し強く出ると顧客の担当者は矛を収めてしまうように見えていました。
顧客にはとにかく何とかシステムを作りたいという雰囲気だけがあり、システム開発を請負った事業部の連中とは喧嘩をしたくないし、そういう気概もないという状態だったので、何かと問題があっても結局は押されぱっなしという事だったと思います。
共同作業というのはお互いの信頼関係と同時に作業負荷もお互いの合意を得て進めるのが鉄則なのですが、この時はシステム開発を請負った事業部の無能分を全て顧客側に寄せて仕事がされていて、横から見ていた私自身も呆れると当時に自身の勤務する会社といいながら、この事業部の仕事の仕方の無責任さに怒りが起きていました。社内会議でもシステム開発を請負った事業部のプロジェクトマネージャーの余りの身勝手さに怒って社内会議にも出ないと言う状態でした。私の上司である営業部長は事の本質が全く理解が出来なくて、単に顧客の対応が悪いだけとか、プロジェクトマネージャーの無能を関係者と意見が食い違っているとか思っていたらしく、私とは全く見解が相違していました。
プロジェクトマネージャー自身が「我々は忙しくて業務を覚える暇も時間も無い」と言い切っていたのが根本的な問題を象徴していたと思いますが、そこまでシステム開発を請負ったプロジェクトマネージャーに言い切られても、顧客側では誰一人として反論する人もいなかったのも何とも言えず残念だと思っていたのは私一人だったかもしれません。普通なら「ふざけるな」という反論が出てシステム開発は中断するというような状況であったと思って聞いていました。
システム開発の延長は前回も記述した通り、5月末、6月末、7月末と月の終わりの週になると週次の会議でプロジェクトマネージャーが「終わりませんので延長します」と一方的に宣言され、顧客側のプロジェクトマネージャーからは何の反論のないので、システム開発を請負った事業部の連中は承認されたと理解して意気揚々と引きあげていきました。顧客側にはプロジェクトマネージャーの他にも大勢の部員が出席をしていましたが、個別の問題点の指摘をするのが精々というのは最初から最後まで変わりませんでした。大局観を持つと言う仕事をしていないせいもあるのかなと感じていました。
延長したのは顧客事由なので費用発生は全て顧客負担という発想は、システム開発を受託した事業部では至極当然な思考だと思いますが、事の本質を理解していないという事が問題というのを誰一人として考えつかなかったというのが、企業の持つ管理能力とかガバナンス統治能力のレベルを表していたのかと感じています。
これは管理能力という問題ということもありますが、もう一つ踏み込んだ倫理観も問題ともいえると思います。企業人としてどういう倫理観を持つかという問題です。問題を全て顧客側に押し付けて、そういう事態に対して役員も知らん顔をしているようでは倫理観は極めて低いと言わざるを得ません。倫理とは「人として守り行うべき道。善悪・正邪の判断において普遍的な規準となるもの」で企業人と言う前に社会人として備えていなかえればならない最低限の事かと思います。そういう倫理観が無い人たちが社員だけでなく役員にも大勢いる会社と判断されかねない事件と思いました。目前の利益に惑わされて自分だけが損をしないようとする行動が如実に現れ、基本設計の期間延長事件という現象を引き起こしたのだと感じています。