プロジェクトを開始すると不思議な事が色々起きました。不思議に思うのはシステム開発の経験があるので、そう思っただけでした。このシステム開発を担当したのはを素人集団というだけでなく、上司である役員も本当のシステム開発というものをどれだけ理解しているのか甚だ疑わしいと感じさせていました。
プロジェクト開始の4月から始まった仕事は基本計画と言われるもので、顧客の業務要件を整理する仕事なのでスキルのあるシステムエンジニアであるとか、又は業務経験豊富なシステムエンジニアを配置させるのは当然ですが、この時に現れたのは丸投げした外注会社が手配した素人の中国人のエンジニアでした。一応日本語は読み書きができる程度で、とても業務要件を纏めると言う能力が無いのは明らかでした。当時は何故こんなに大量の中国人が集められたのかと不思議で不思議でたまりませんでした。
元々マネジャーの素質の無い40歳もとうに過ぎた背の低い男がプロジェクトマネージャーをしていましたが、当然基本計画でやる中身は理解の程度は別として分かっている筈でした。であるならば、どうしてこんな素人の中国人エンジニアを集めたのだろうかという疑問が湧いてきます。
当時、誰からも社内でこういう疑問が提示されなかったし、同じ事業部内でも指摘がなかったところが大問題であるし、何か裏でもあるのかと思っていました。
契約金額や契約期間は4月に決めているので、あとは顧客と業務要件を整理して基本計画書を作成するだけでしたが、後に分かったのはこの時に整理した基本計画書は次の基本設計には何の利用もしなかったという事実でした。プロジェクトマネージャーがどうせ使いもしないという事を分かっていた上で、もっともらしい顔をして8ケ月もの間毎週にわたり、基本計画書のレビューをしていたとしたら確信犯ということになります。これが犯罪行為と言うことでなければ何と表現していいのか分かりません。
この基本計画フェーズ最後はごたごたが発生して次フェーズの基本設計になだれ込んだという」経緯がありました。この基本設計フェーズでの設計書をレビューしている毎週の会議席上で、設計書が顧客の業務を理解しないで書いてある事実が数多くあり、顧客の担当者がシステムエンジニアが業務を理解していないという事実を指摘しました。その時、システム開発を請け負っている事業部のプロジェクトマネージャーは「我々は忙しいので、今更業務を覚える気も時間もありません」という発言をしました。「覚える気もありません」という言葉が基本計画は不要ですと自らいっているのと同義なのでした。これは自ら基本計画の仕事は無意味でしたというのを自白したようなもので私は非常に驚きましたが、常に穏便ばかりをいう顧客からはそれ以上の追及はありませんでした。顧客の大人しいのに便乗して数億円もかけた8カ月もの間は無意味な仕事をしていた事が露見したと思いました。
図らずも自ら未必の故意があったことを会議の席上で述べたのでした。これで犯罪の立証はできたともいえると思います。

同時に、何故大量の素人の中国人を使っていたという事になったのかと考えてみると、事業部と外注会社が強くつながっていたという事実があります。その上、自分の不始末を全て外注の責任にするような事業部だったので、当然外注会社の方も自己防衛対策を考えるのは当然だと思います。
顧客との契約金額は決まっている、当然外注会社の発注金額も決まっている訳です。やる仕事の基本計画書は次のフェーズでは利用しないので適当にお茶を濁して設計書を提出しておけばよい事を理解している人間であれば、費用の高い能力の高いシステムエンジニアではなく外注会社が儲かる安値の下請けエンジニアで構成させるという発想が出てくるのは当然です。そうした体制にして欲しい外注会社が決定権のある人間にそっと裏金を渡したのではないかと想像するのは至極当然で理屈があうと思います。そうすると、誰かが素人の中国人エンジニアを集めたプロジェクト体制を作った本当の理由が理解出来ます。
社内でコンプライアンスとか社内統制を声高に言う幹部が、理由も不可解な海外旅行三昧を堂々と行っていた事を誰も非難しない社風を眼にしてきただけに、こういう事がプロジェクトの裏方で起こっていても不思議ではないと感じていました。