転職してきた新任情報システム部長が実質更迭されて後任の情報システムに疎い部長が就任して個人的にはほっとしましたが、案に相違して対応が大変でした。
この新しい情報システム部長は現場では事業部長とか部長とか、一時は取締役とかと役職がころころ変わっていましたが、私の勤務していた会社はシステム構築案件を癖のある課長の仲介で紹介されて何度か提案をしていました。その時も提案はしたのですが提案が採用される事も無く、何事も無かったかのように自然消滅したのでした。1年もして話を聞くと問題があると言われていたにもかかわらず何も変わっていなかったり、いつの間にか別の場所でシステムが出来上がっていたりして、案件は社内の中で色々な思惑があって動くのではないかと感じていました。この新任部長は随分と昔に同業他社の営業から転職してきた人で、この会社に住み着いて会社の風土が理解できていたので、何かあっても現状を変える事には極めて慎重な人物ではないかと理解していました。そういう意味では転職してきた前任部長とは大きな違いがありました。表面上は物腰が柔らかいのですが、対応を間違えると怒りをぶつけてくるので慎重にしなくていけないのでした。

それは普通に相手を見て対応する能力があれば分かるのですが、私の勤務していた会社の部長が硬直した頭脳の持ち主で、ある時障害対応の書面を普通に書いて送信して、この新任部長の怒りを買ってしまいました。
それは、情報システムでは当然と思われるような内容が、素人の部長には如何にも対応がおざなりであると写ったようでした。この時は、翌日面会して謝罪をしたのですが、素人さんが言われるのは理屈が通っていて当然だなと感心するばかりでした。情報システム部長は社内に情報システムのサービスをしている立場から社内から苦情がくるのですが、そういう苦情が頭に浮かぶと、役員から苦情を指摘される事に恐怖を感じていて「ふざけるな」と言いたくなったのではないかと思いました。
真面目な部長さんだったので、いい加減な外資系コンピュータ会社に対して厳しく注文はつけてはいましたが、それじゃコンピュータを取り換えてやるとかいったところまでは勇気も無く出来ないようでした。口先はえらくうるさいのですが、実質は何も手を打てないという典型的な口先男と言われてもしようの無い人だと、半年ほど付き合って確証が得られました。
外資系コンピュータ会社はシステムの障害対応の不手際があり、就任早々の部長がものすごい剣幕で会社に乗り込んできたので、最初はあたふたした様子でしたが、ひとたび状況が理解できると再び強気の対応に自然と変わって、1年もすると以前と変わらぬ強面の態度になるのは自然の成り行きでした。

癖のある課長は、この新任部長とも以前職場が同じということもあってやりやすいと感じていたのではないかと思います。時々この二人が会議室で話をしているのを壁越しに聞いていたことがありますが、和やかではありませんでした。何時も部長の大きな声が聞こえていました。新任部長はかっての部下とはいえ、100億円損失事件を起こした本人には関わりたくなかったと思いますが、立場上自分の部下なので時々は上がってくる案件に対して説明を聞く必要があり、それはそれなりに本当かどうか半信半疑で聞いていたとは思いますが、所詮知識がないので言いなりにしかならないのが嫌ではなかったのかと思いした、そういう思いが大きな声となっていたと思うと「大変だね」と私は心の中でつぶやいていました。
転職してきた情報システム部長の異動先は企画部門の担当部長で、情報システムの個別案件に関わると言う立場になりました。転職してきた部長は個人的には頑張ったつもりでも、転職してきてから2年間も大きな成果もないので建前としての悪い評価になったのかなと思いました。私の勤務する会社のデータセンターを他社に移転し費用も大幅削減できれば大手柄で、異動は無かったのだろうと想像をしたのでした。