新システムが開始されてから、メインコントラクターとなった外資系コンピュータ会社は概算の開発費用やハードウエア・ソフトウエアの費用を提示していたと思います。私の勤務する会社が担当する運用に関連するソフトウエアは当然ながら私の会社が提示した見積書で決まったと思い込んでいたのですが注文書が中々出てこないので再三督促すると、突然夜8時に来社しろという連絡がありました。
とっくにプロジェクトは開始されていたのですが、癖のある次長とは何時も会議中で電話が通じないし、忙しいという言い訳ばかりで、私の勤務する会社が担当する範囲の注文書は中々出さないので嫌がらせをされているのかと思っていました。特に運用で利用するソフトウエアは外資系コンピュータ会社とは違う製品だったので競合しており気になっていたので心配をしていたのでした。
そんなある日にメールが届いて、運用に関するソフトウエア費用の打ち合わせを夜8時から打ち合わせをしたいという事だったので、訪問すると会議室に案内されると外資系コンピュータ会社の営業部長が座って私を待っていたようでした。
癖のある次長から「両社でベストプライスを出してください」という風に言われて驚きましたが、その言葉を聞いて初めて会議の趣旨が分かりました。この席で競合先の外資系コンピュータ会社と私の勤務していた会社とで面と向かってソフトウエアの見積金額を競わせようというものでした。
外資系コンピュータ会社の営業部長は当然私よりも若くて40代の男で、以前から面識はあるので競合先だからという感じではなくて両社は自分の権限範囲でうまく収まるのかなというような雰囲気だったので、特段に厳しいような感じではなく言われるままにお互いに費用を提示しあうというような折衝になりました。
最初に私が外資系コンピュータ会社の見積書を見せられた時に、条件が違いますという事を癖のある次長や外資系コンピュータ会社の営業部長に説明したので、外資系コンピュータ会社の見積もりをしているシステムエンジニアに伝えてほしいと言う事になり、私が外資系コンピュータ会社の営業部長の携帯電話を借りて見積作業をしているというシステムエンジニアに見積条件を説明してから、費用の提示をしあうという事が始まりました。
私はこんな事になるとは予想もしておらず、癖のある次長に若干の値引きで納得してもらおうと思っていたので、こういう展開に驚きました。癖のある次長ならやりかねないなと思いなおして、私も自分が勤務していた会社の見積担当のエンジニアに電話して値引き上限を何度か聞きましたが、その程度では収まらない価格競争となりました。私の勤務していた会社のエンジニアは開発元の会社の営業担当でないと判断できないと言われて、私はソフトウエアを開発している会社の営業担当に何度か値引きの上限を聞いて、外資系コンピュータ会社が提示している費用を下回る費用を回答しました。
夜も10時を過ぎるとソフトウエア開発会社の営業担当は「もう上司も帰宅して承認が得られません。あなたに一任するので受注してください」という相手もどうなっているのかねというような投げやり態度が分かるような回答を最後に出したのでした。
見積金額の出しあい会議の最後に私は最低限の費用を提示すると、外資系コンピュータ会社の営業部長は「そういう費用では当社は対応できません」という白旗が上がって漸く決着したのでした。
夜も10時を回って私は少々怒りのモードになっていましたが、それでも何とか注文を貰える見通しがついてほっとした複雑な気持ちでした。
その日は夜も遅いので癖のある次長とは会議室を出たところで別れましたが、こんな酷い事を平気でする人間にはうんざりしました。同時に、そういう人間が中心となっていているプロジェクトの監視をしていかないと危ないという危機感が募り、どういう風に監視をするかと思案しながら夜道を帰宅しました。