私は転職前の軍隊のような会社の営業部では色々な事を教えて貰いました。その一つが顧客の環境を調べるということで、その意味するところは顧客との会話に同調できるほどの情報を身に着けろと教育されたことでした。転職後の会社では、自分の力では顧客なんぞは見つける能力も無いので、顧客を紹介してくれる社内外からの情報待ちだけで、いざ顧客に行くとしても「xxさんの紹介で」といような調子で、顧客の情報などには全く知りたくも無い、知りたいのは注文を貰えるような案件があるかどうかという非常に狭い視野の営業でした。顧客とは仲良しというよりも、きちんと接待するのが仲良しになることだと勝手に思っているのが精々のレベルでした。それは表面的な付き合いしかできないという事でした。それでも「やるだけましだろう」というのが営業部長や役員の言い分でした。

2つ目のデータセンターが出来ると、地下鉄の駅から歩いて7・8分の一番近い道とは別に、地元のスーパーとかがある小さな商店街を巡って見ました。書店も有名書店の支店がビルの一角に入居していましたが量が限られるので金太郎飴状態でした。別のルートを歩いて古書店を見つけたのですが、規模が小さく私がこのデータセンターを訪ねるようになってから数年のちには店が無くなっていました。
一方で、食い物屋はサラリーマン向けの飲み屋は駅の周りに散在していて需要はそれなりにありそうでしたが、私は酒を飲まないのでそういう店には全く興味がわきませんでした。それよりも昼飯を食わせる店が無いかと探しましたが、数件の和食店やレストランしかありませんでした。住宅街が立ち並ぶ地区なのでもっと沢山あってもいいだろうと思ったのですが、住んでいる人の年齢が割合に若い人が多いので外食も少ないのだろうと理解しました。
データセンターで夜食が10食以上も必要になった時、駅近くの弁当屋で事足りるかと思っていたら意外にも夕方は弁当屋も店を閉めているような状態でした。仕方なしに、わざわざ都心の百貨店地下の弁当屋まで仕入れにいったことも度々ありました。
レストランは一軒だけ気に入った店があって、ランチ定食は味も量も愛想もまあまあという和食の店を探し出したので、顧客がデータセンターに行く際の昼飯に誘える場所ができたのでした。
地下鉄が高架になっている場所で、地下鉄の駅の高架下には飲み屋と食堂を兼ねた店がぞろぞろとあり、わざわざ店を探す気も無いときはそういう店に入れば腹の足しにはなるような事もありました。
住宅街というには毎日の食事のための買い物位しかできないレベルの店ばかりで、少しばかり気の利いたものを買うには地下鉄で都心まで行くような立地だと理解ができました。ビジネスホテルも数軒あり、都心よりも値段が安いのが地方からの出張者には人気があるというのも自分の会社で地方から出てくる人から聞いて知りました。
住宅街だけにホームセンターは大きな店が道路沿いにあり、私の住んでいる地区のホームセンターでは売っていないようなものを買った記憶があります。
一番驚いたのは、データセンターの近くに24時間営業の風呂屋があり人気だと聞きましたが、暫くして営業が中止になりましたので、需要が足りなかったのかなと思いました。それにその風呂屋の営業には私の勤務していた会社の親会社が関与していたとも聞いていたので、武家の商法だったのかも知れないと営業中止の話を聞いた時思いました。
データセンターの周りは住宅街だけに夜は早くに暗くなり、高層マンションの明かりが点々と光るばかりで、地下鉄の駅近辺の飲み屋の赤提灯だけが夜遅くまで揺れているというような、割合に都心に近いとはいえ寂しい場所であるというのも分かりました。
12月31日夜に、データセンターの顧客がコンピュータの停止とか入替とかをする時には、データセンターで顧客の担当者、私と技術者は徹夜になる事が何回かありました。午前1時から2時過ぎにデータセンターを出て帰りのタクシーを捕まえようとすると、寒風吹きすさぶ中でなかなか捕まらなかったというような経験もしたのが楽しくも思えたのでした。