食品製造会社のコンピュータのデータセンター移転は規模は大きくなかったので容易に出来ましたが、一番の苦労はオペレーションでした。元々社員で社内業務に忠実に従ってプリント出力したり、特定のジョブを流すというようなことをしていたものを、作業の標準化をしないままデータセンターのオペレータに引き継ぎました。そのオペレーションは職人技みたいなもので、24時間のオペレータ4名が覚えるには能力も必要でしたしかなりの時間も必要でした。このオペレーションは延々と今でも引き継がれていると思います。
こういう苦労を経るとお客様とは自然と仲良くなるもので、その後社内のメールシステム構築の注文をもらいました。全国支店での作業がありました、私が勤務していた会社では手におえないので、かっての付き合いのあった業者さんに手伝ってもらいシステムを導入することが出来ました。この時、担当したシステムエンジニアは一風変わった職人気質の人で、私と同じ事業部の技術部に丁度異動したばかりの頃でした。年配の割にPCに詳しいので素人集団の知ったかぶりをする連中には煙たがれていた人でした。そういう気質から私とは相性がよく、次に注文をもらったお客様でも1000台のPCを導入するときには嬉々として一緒に仕事が出来ました。技術者は少々偏屈で凝り性の方がお客様にも真摯さが伝わって評価されることが多いと思いました。

食品製造会社では社会人スポーツにも力を入れており、マラソンの選手が情報システム部にも配属されていました。情報システム部の女性陣は「マラソン選手はもてますよ」という話をしているのを聞いたことがありました。新人のマラソン選手が情報システム部に配属されて、当時は毎朝10Kmを走って会社に来るので午前中は仕事が出来ず、午後から仕事をするというスケジュールだと聞きました。
「どんな仕事をするのですか」と半分冗談交じりに質問すると「社員教育を担当しています」という返事があり、面白くもない内容に拍子抜けしたような気になりました。私は「何もしていません」という答えを期待していただけに余りにも平凡な内容で期待外れであったということでした。
そのマラソンをしていた男性は、女性陣の前評判通りにしばらくすると結婚しますという話を聞いたので、なるほど体格もいいし顔だってスポーツマンらしい爽やかな顔をしていたので早い結婚話に得心出来ました。
しかしながら、先輩に同じマラソン選手だったという真面目な人がいて、課長から「xx大学のマラソン部出身です」と紹介されたのですが、理系という学校の特性をかって採用したという感じはなくマラソンが買われて入社しように思えました。「今でも走るのですか」と質問すると「ええ、時々」という答えがあり、気分転換になるというような話を聞きました。その男性は、先述のメールシステムを一緒に作業したので色々な話をしましたが、こちらの人は真面目すぎて女性が敬遠しているようだと感じました。先日、インターネット上に、この男性がユーザー紹介という頁に写真が出ていたので見ると、相変わらずの真面目な顔つきで、頭髪に白髪が混じったということだけで風貌は変わっていなかったので直ぐにこの人だと分かりました。
この男性をマラソン部出身ですと話してくれた課長さんも、聞けば実は大学時代はマラソン部でしたというので、情報システム部はマラソン選手の指定席かと思いました。この課長さんに、当時話題の小出監督の事を聞くとよく知っているというので話が延々と続きました、合いの手をいれるとあっという間に1時間や2時間が過ぎていくのでした。
私の勤務していた会社の役員にスポーツをしていたという人がいましたが「俺はスポーツ心臓だ」というのを自慢ばかりする人で私には気持ちの悪い存在でした、この食品製造会社のマラソンをしていた社員の爽やかな印象とはまるで違い、その落差をいつも感じていました。