私がデータセンターの営業を担当してから5・6年後にはこれから紹介する4社のコンピュータを預かるようになり、事業部長から部下をつけようと言われたことがありました。私一人では多忙すぎるので、それはそれで嬉しかったのですが、事業部長から注文がつきました。
異動の対象となった男はトレードマークとして鼻の下にチョビ髭を生やしていて、社内でも名前よりも「あの髭ね」と言われるような男でした。事業部長は「俺は髭男が嫌いでね、異動する前に髭を剃るように言ってくれんかね」と言われて呆然となりました。そんなことなら自分で「おい、異動する前に髭をそってこい」と電話ででも言えばすむと思えたからでした。
この異動させられる男も多分その事業部ではうさんくさいと思われていたのかも知れませんでした。大概異動と言えば何も問題無ければ普通には対象とならないので、何か上司には気に入らないことでもあったのだろうと思いました。
今時は顎髭とかが流行っているので違和感が小さく感じられますが、それでも私には髭の顔が何ともいえず好きにはなれません。西洋人は顔の彫りが深く毛も太いせいもあって、男は髭男の方が普通に女性にもてると聞いたことがありますが、日本人のようなのっぺらな平べったい顔に髭は似合わないというのが自説です。それに髭を生やすというのは何か劣等感でもあってはやしているのかとも思ってしまいます。
私は仕方なく事業部長に言いつけれた通りその男のフロアまで出向き「実は私も困っているんだ。事業部長から、あんたが異動する当日には髭を剃った顔で出てくるように言われているんです」と事情を説明するとともに、何とか実現させなければいけないかと思って「異動後は仕事もたくさんあって、将来は明るいよ。出世の階段を上がると思って髭を剃ってきてくれませんか」とも言って少しは持ち上げたのでした。
結果としては、異動した当日には髭を剃って現れて事業部長に挨拶をしていたので、事業部長はご満悦でした。私は当日まで気が気がなかったのですが、何せ髭を剃るというのは本人の意思なので、どうなることかと心配をして少しは神経をすり減らしました。
この男は普通の男で特色が無いと思っていたら、ボクシングのセコンドをしているというので、担当したお客様に売り出して好評でした。しかし仕事は普通のサラリーマンで上司の意向をうかがうような仕事ぶりだったので、私の受注した客先とは段々と疎遠になり売り上げも自然と落ちて行きました。客先の上司と調子よく自分の会社の上司とつきあっていればよいという風に考える社風そのものでした。
この事業部長も変わり者で社内では有名でした。異動する前にはフロアの全員が不安な日々を過ごしました。社内でも不評の噂があって、社内情報には全く疎い私でも不安になるほどでした。
事業部長が赴任すると一緒に技術部長も連れてきて、前任の技術部長を首にして何処かに異動させてしまいました。以後は、この事業部長と技術部長が事業部の運営を相談しながら決めていました。まるで個人商店のオーナーさんのような仕事ぶりでしたが、そういう流儀が許される会社もすごいなと思わされた数年間でした。
異動の対象となった男はトレードマークとして鼻の下にチョビ髭を生やしていて、社内でも名前よりも「あの髭ね」と言われるような男でした。事業部長は「俺は髭男が嫌いでね、異動する前に髭を剃るように言ってくれんかね」と言われて呆然となりました。そんなことなら自分で「おい、異動する前に髭をそってこい」と電話ででも言えばすむと思えたからでした。
この異動させられる男も多分その事業部ではうさんくさいと思われていたのかも知れませんでした。大概異動と言えば何も問題無ければ普通には対象とならないので、何か上司には気に入らないことでもあったのだろうと思いました。
今時は顎髭とかが流行っているので違和感が小さく感じられますが、それでも私には髭の顔が何ともいえず好きにはなれません。西洋人は顔の彫りが深く毛も太いせいもあって、男は髭男の方が普通に女性にもてると聞いたことがありますが、日本人のようなのっぺらな平べったい顔に髭は似合わないというのが自説です。それに髭を生やすというのは何か劣等感でもあってはやしているのかとも思ってしまいます。
私は仕方なく事業部長に言いつけれた通りその男のフロアまで出向き「実は私も困っているんだ。事業部長から、あんたが異動する当日には髭を剃った顔で出てくるように言われているんです」と事情を説明するとともに、何とか実現させなければいけないかと思って「異動後は仕事もたくさんあって、将来は明るいよ。出世の階段を上がると思って髭を剃ってきてくれませんか」とも言って少しは持ち上げたのでした。
結果としては、異動した当日には髭を剃って現れて事業部長に挨拶をしていたので、事業部長はご満悦でした。私は当日まで気が気がなかったのですが、何せ髭を剃るというのは本人の意思なので、どうなることかと心配をして少しは神経をすり減らしました。
この男は普通の男で特色が無いと思っていたら、ボクシングのセコンドをしているというので、担当したお客様に売り出して好評でした。しかし仕事は普通のサラリーマンで上司の意向をうかがうような仕事ぶりだったので、私の受注した客先とは段々と疎遠になり売り上げも自然と落ちて行きました。客先の上司と調子よく自分の会社の上司とつきあっていればよいという風に考える社風そのものでした。
この事業部長も変わり者で社内では有名でした。異動する前にはフロアの全員が不安な日々を過ごしました。社内でも不評の噂があって、社内情報には全く疎い私でも不安になるほどでした。
事業部長が赴任すると一緒に技術部長も連れてきて、前任の技術部長を首にして何処かに異動させてしまいました。以後は、この事業部長と技術部長が事業部の運営を相談しながら決めていました。まるで個人商店のオーナーさんのような仕事ぶりでしたが、そういう流儀が許される会社もすごいなと思わされた数年間でした。