当時は神田にあるホテルの2階が宴会場でした。主人が酒にこだわり、料理も凝ったもので中々においしいものでした。魚料理が主で、刺身は言うに及ばず、すっぽん鍋とかあんきもがおいしかったと記憶しています。
飲料販売会社の常務と情報システム部長を忘年会に接待するのは恒例となりましたが、初回には色々な話を聞かせてもらいました。
常務は元々親会社で部長さんをされていたらしいのですが、本人ではなく部長さんから「毎日ウィスキーを飲みながら夜遅くまで汗をかいていましたよ」と苦労談を聞きました。同族系の会社なので、外目でみるよりも社内ではかなり厳しいことを言われるんだなと知りました。先日もその会社の創業者の記事がでていましたが、顔は笑っていても目は笑っていないと評されていました。常務さんは、きわめて生真面目な人で、60歳も近いのに単身赴任して自分で料理をするというような人でした。

話題の中で「データセンターは内定していたのに当社に決めて頂いたのは・・・」という話題になった時に、常務は「もう一つのデータセンターに行ったときに帰り際にタクシーで料亭まで連れて行かれて、あっしまったと、思いましてね」という感想を述べました。その後、情報システム部長にはそのデータセンターの稟議書が課長から上がっていてはんこを押して手元にとどめてあったところに私がたまたま訪問したという事が判明しました。決めようとしていたデータセンターは商社系だったので、商社マンらしく受注前に接待してお客様を取り込んでしまえという風に考えたのだろうと思いますが、それが裏目に出たのでした。
私はコンピュータ営業を担当してから、受注前の接待は禁止と教育を受けてきたのですが、外資系や商社系のコンピュータ会社は受注するためにはなりふりかまわず、金を渡す、接待する、その他あらゆる手立てを使うのを目にしてきたので、このケースもそういう風に動いたのだと聞いて違和感はありませんでした。しかし常務さんにとっては迷惑だったので悪印象をもっている所に、もっとよさそうなデータセンターが突然現われたので乗り換えたということでした。

この時常務の説明では、飲料販売会社の親会社の親戚が新潟で酒屋をやっていて、XXという銘柄の酒を小さい蔵元なので地元だけで販売していますという話題になったのを店主が聞きつけて、「XXならあります」と言って持ってきたので席が盛り上がりました。店主が全国を巡って集めていた地酒だったそうです。何かに付けこういう事が起きるのは因縁というものなのかと感じた時でした。