データセンターにはコンピュータを設置するという目的ではなく、一般事務所として利用しているお客様もいました。私の担当した移動通信事業の会社ではサービス開始前でもあり、費用の節減のためにコンピュータ用に賃借したフロアに事務室を作っていました。
前記のような事務所として利用しているお客様に加えて、コンピュータを24時間365日動かしているお客様がいました。そういうお客様のフロアにはオペレータが8時間とか12時間とか交代で勤務しているので、常に何人かがデータセンターに駐在をしていました。そういうような事情で、フロアによっては廊下で結構人が頻繁に行き来するような光景もありました。
ある時、たまたまお客様のフロアで打合せをした後で廊下を歩いていると、厨房室で炊飯器のお釜で米を研いでいる若い人を見かけました。後ろ姿を見ながら、その研ぎ方がぎこちちないので、私がお釜を取り上げて「こうして洗わないときれいになりませんよ」と手を出してしまいました。その時、私はこんな場所でご飯を炊いているという場違いな行動に驚かされました。

データセンターの立地は工場地帯という立地もあって近くに食堂も無く不便ではありましたが、最寄りの駅からデータセンターに来るまでにはコンビニもあるので弁当を買う事もできるだろうと思えました。それでも炊飯器でご飯を炊いているということは、コンビニに行く時間の節約とか、弁当代の節約とか、色々の節約の結果だろうと思うと、何とも質素な生活をしているなと思い知らされました。

この一件で、データセンターには厳しい労働条件で働く人もあるということを認識させられました。その一方では以後、自分自身も営業で超多忙な日々を過ごすことになったので、このデータセンターの仕事は大変な思いばかりが残りました。そういう自分の前途を暗示するような出来事だったかも知れません。