私は当時扱っていた機械を販売する場合、大手企業には直販で自分自身で売り込みに行きましたが、関東地方の小さな会社や地方もお客様に販売する時は代理店販売をしていました。それで、色々な代理店とのパイプ作りをすることもありました。そんな時、都内の某大手事務機器販売店から機械の展示説明会をしてほしいとの依頼を受けました。
機械の展示説明会依頼のあったのは大手代理店の都内の支店でした。駅前から少し歩いて探さなくては分からないようなビルの2階に事務所があり、小さな展示スペースがあって事務機器が展示してありました。私は何時もの説明会通り、機械を持ち込んでインストラクターと一緒に説明会を行いました。

お客様が来場すると、機器の説明はインストラクターと私が行なうのですが、その後のフォローは事務販売会社の営業マンが行なっていました。
私は当時40歳を少し過ぎた年齢でしたが、事務機器販売の代理店の営業マンは20代前半の若い男ばかりでした。元気はあるのですが、情報機器を扱うにしては知識が無いので、お客様のニーズを聞いて相談にのって色々な製品を提示するというような器用なことはできなくて、目の前にある機器を押し売りすることしか出来ないのではないかと思えました。
成果主義で厳しい会社で有名でしたから、社長からは売れ売れというような怒号しか来ないような社風ではないかとも感じました。

その中でも一番の若手らしい営業マンと話をしました。歳を聞くと、未だ高校卒業したばかりというので
驚きました。それからこの一番若い営業マンに興味が湧いてその行動を見ていると、そのしつこさには頭が下がりました。お客様が買う意志も無いと思えるのに「何時、機械を入れますか」とか「金額はどうですか」とか、売りたい一心というのが傍目にも伝わるほどの対応でした。そういう対応なので、相手もさっさと逃げ出して店から出て行くばかりでした。
そういう状態だったので見積案件も出ないのですが、たまたま私が閉店の夜8時くらいまで店内にいた時に「もう遅いので帰るんでしょう」と言ったら「いやいや未だやることがありますから」と言って夜10時過ぎは当たり前に事務所に残っていると言っていました。

家電商品同様に売れる情報機器というのはあります。売れるものは何でも売るんだと言う姿勢も買えます。しかし若い人を教育もせずに長時間働かせている実態を見て疑問に思いました。人を消耗品扱いしているのではないかと感じたときでした。
従業員自身は熱心で付き合いをしていても気持ちは良かったのですが、事務所はいつも世話しなく落ち着かない雰囲気だったように覚えています。当然ながら話言葉も早めで、急かされるような印象を持ちました。

その後この会社は生き残っていますが、さほどの成長は無くなって成熟したようです。某大手コンピュータメーカーを退社してコンサルタントをしている人から「あの取締役は有名だ」とか「あの部長は知っている」というような発言を耳にしたことがあります。そのコンサルタントは会社の表面的な事しか知らないのだろうと思いましたが、世間での実態はそういう人が多いというのも推測できると思いました。