その一)
私の所属していた事業部は万年赤字というので会社でも厄介者扱いでしたので、当然仕事をしている振りをするために皆が毎日残業に精を出していました。主に報告書や社内への連絡文書などを書いたり、お客様への提案書をまとめるとかしました。
時々は受注の進捗会議をするというので課単位での会議が夜6・7時から始まりました。終わるのが8時か9時になるので当然腹が減ってくるので、課長の腹具合如何でしたが大抵は蕎麦の出前を頼みました。
てんぷら蕎麦という高級なものはご法度でしたので、普通はたぬき蕎麦を頼み会議室まで運んでもらい食べました。出入のそば屋が決まっていて会社の夜の注文だけでも相当の量が毎日はけていたのではないのでしょうか。

その二)
会議は課長の小言を聞く面白くない時間でしたが、このたぬき蕎麦を食べる時は別でした。蕎麦がいいのか出汁がいいのかは不明でしたが、小腹が空いていたせいもあるのかとても美味く感じました。蕎麦にはゆでたホウレン草がついていたのもそういう印象を与えるのに一役買っていたのかも知れません。
そういう感想は他の連中も同じだったと思います、時々会議が始まると「蕎麦を頼みましょうか?」と誰かが言って課長が「うん」と言えば会議も少しは明るくなりますが、会議費も残り少なくなって「今日は止めとこう」というと気落ちしたりしました。