その一)
私が会社に入社したのは高度成長期の終末期でした。毎年給与が20%くらいは上がるというような時期でした。こういう状態ですと将来は幾らになるんだろうという期待を全社員が持っていたと思いますが、そういう思いは入社後2年くらいで終わってしまいました。オイルショックで産業の収縮が始まったからです。これから給与は定年まで劇的に上がることはなく、のろのろしたカーブでしか上がっていかないのでした。
オイルショック以降は、日本全体の産業構造も製造業中心からサービス業へとシフトしていく時代になり、製造業はコスト削減のために社員の給与を上げるだけの原資を持つことが出来なくなったのでした。
コスト削減は当然海外の安い労働力に流れるので、日本の生産現場はどんどんと縮退していった時代でもありました。当時は蛍光灯も国産で若い女性がラインに並んで生産していましたが、そういう女性も不要となりました。空き部屋になった工場の女子寮を新入社員の独身寮として四人一部屋で使ったというようなこともありました。

その二)
その当時に入社して直ぐに結婚して持ち家を建てた人は給与が上がると前提で借金をしていましたから、オイルショックで給与が上がらなくなって困ったようです。二十年も後にバブルという時期が来ましたが、当時はバブルではありませんでしたが同じような現象はありました。

その三)
新入社員の頃は給与も安く会社にとっては工数原価の低減という意味合いがあります。不思議なのは、年齢を重ねてもやることは変わらないのに給料だけ上がるということでした。年功序列という言葉もあります。この給与も能力とは関係なく上司のさじ加減でどうでも変わるものなので、そういう意味でもいい加減なものだと知るのは入社してから暫くしてのことでした。