介護と仕事の両立について語られるとき、
よく耳にする言葉があります。
「介護離職は、防げる」
制度を知っていれば、
早めに準備していれば、
周囲とよく相談していれば——
そうした前提のもとに、多くの解説や対策が語られてきました。
私自身も、介護離職を扱った書籍や解説書を読みました。
また、現実の介護の現場で起きていることを、
介護離職を心配する状況ではなかったのですが、家族介護当事者として経験もしてきました。
その中で、どうしても消えなかった問いがあります。
介護離職は、本当に「防げる問題」なのだろうか。
今回、LIFE STAGE NAVI に公開した記事では、
この問いに対して、あえて結論を出していません。
体験談をもとにした感情論でもなく、
制度や対策を並べたハウツー記事でもなく、
介護離職という問題が置かれている「構造」や「前提」を、
一度、立ち止まって整理することを目的に書きました。
制度は確かに変わってきています。
しかしそれでも、
限られた時間の中で判断を迫られ、
「選べるようで選べない」状況に追い込まれる現実は、
今も大きくは変わっていません。
この記事は、
「こうすれば防げます」という答えを示すものではありません。
むしろ、
その問い方自体に無理がないか、
その言葉が誰かを追い詰めていないか、
そんな点を考えるための“入り口”として書いています。
介護に直面している方、
これから向き合う可能性がある方、
そして、仕事と生活の両立について考えている方にとって、
一つの視点として読んでいただければ幸いです。
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