本作品は、和田信賢(森田剛)ら社団法人日本放送協会の実在のアナウンサーが、「太平洋戦争の開戦」後、ラジオ放送による「声の力」で戦意高揚・国威発揚、アジア各国に開設した放送局による偽情報での敵の混乱・アジア民衆の日本人化といった「電波戦」を展開していた様を描く作品。2023年8月放送の『NHKスペシャル』の映画版。新延明制作統括、一木正恵演出による2024年日本映画。

 

私は普段テレビドラマは見ないので、昨年のこのテレビ版を知りませんでした。NHKが戦前の日本放送協会の過ちに向き合った良作ですね。国内でただ大本営発表を垂れ流すだけでなく、時にアナウンサーの側が積極的に話し方などで関与し、軍部と一体となってアジア地域でこんなことをしていたとは。ただ、招魂祭で遺族に語りかける型破りの放送や大本営発表をするだけでなく軍艦マーチを流すことにした罪深さもありながら、酒好きで実況が上手く、「虫眼鏡で調べて望遠鏡でしゃべる」という考えなど、和田信賢という人物は確かに魅力的な人物です。テレビだけでなくネット上でも情報戦が展開される今、一見の価値があります。十分予算が付いていないのか、少し安っぽい作りが残念ですが。

 

映画公式サイト

https://thevoices-at-war-movie.com/