本作品は、2001年の「9.11事件」を受けて、ドイツに住むトルコ移民のクルナス一家の長男ムラートが旅先のパキスタンでタリバンの嫌疑で拘束され、さらにキューバのグアンタナモ収容所に収監されてしまうが、母親のラビエ(メルテム・カプタン)がムラートを取り戻すべく奮闘し、ベルンハルト・ドッケ弁護士(アレクサンダー・シェアー)に依頼し、ブッシュ大統領を訴えるなどしていく様を描く実話に基づく作品。アンドレアス・ドレーゼン監督による2022年ドイツ・フランス映画。第72回ベルリン国際映画祭銀熊賞(主演俳優賞、脚本賞)受賞。

 

このラビエが関係大臣などに手紙を出すなど行動力がありかつ愉快な人で、グアンタナモのことは一切描かないこともあり、誰でも見やすい映画に仕上がっています。もちろん、本当にアメリカ政府・軍部が酷いのですが(アメリカ連邦最高裁はまともなのに)、驚くべきことに、2002年9・10月にはアメリカ側もムラートがタリバンと関係ないことを認識し釈放しようとするのですが、当時のドイツのシュレーダー政権(社民党と緑の党の連立政権)がムラートの帰国を拒むとは(一方で、2005年の政権交代後、メルケル首相はラビエからの手紙に返信するのです)。そして、ムラートがドイツに戻るのは2006年8月ですからね。

 

映画公式サイト

https://www.zaziefilms.com/kurnaz/