一昨日夜は、平和憲法研究会のオンライン研究会。この研究会に麻生多聞さん(鳴門教育大学教授)が参加されていたので、休み時間に11月21日『しんぶん赤旗』に掲載された麻生さんの原稿(「芦部信喜と憲法9条」)について質問してみました。もしかして、『赤旗』がこのような論稿を載せる何らかの意図があったのではと思ったのですが、編集部にテーマだけ与えられ、麻生さんが自由に書かれたようです。

 

ただ、読者はこの原稿を読むと、憲法学界が以前から大分現実的傾向(保守化)が進んでいるという印象を与えるのではと少し危惧しました。原稿では、「『必要最小限の自衛力を認めず、9条を守ることにこだわるもの』として、芦部が元々立っていた憲法9条学説は、もはや多数派とはいえないまでもなお健在である」と書かれていますが、割合が減ってきたとはいえ、今でも憲法学界の多数派は自衛隊違憲論です。麻生さんにも指摘しました(麻生さんは自衛権容認説ですが、私は否定説です)。

 

というのも、『第三文明』で2014年閣議決定擁護論を展開し、他でも「第9条絶対平和主義」を批判している木村草太氏(東京都立大学教授)を度々『赤旗』紙面に登場させているので(『朝日新聞』も同様)、気になった次第です。それはともかく、麻生さんの次回のテーマは長谷川正安なので、楽しみにしています。