本当にひどくなったと、彼が心で嘆いた。方法があるかもしれない、それともひょっとしてこういう病症ならぜんぜん治らない、次に彼女に忘れられる人は自分かもしれない、まだ諦めないか?
絶対いやなのだ。
記憶が衰えて30日目。まだ朝っぱらで日差しがちょうど室内に差し込める。当番の鶴丸は記録用のノートを見ている。隙間なく○が書いてあったのはもう何ページもある。
後ろから突然に軽快で懐かしい足音が届いた。
「鶴丸国永。」
彼の手が震えた。
「賑やかが好きで、いたずら好きで寂しがり屋でちょっと臆病のやつだ。」
体がこわばって後ろへ振り向けている。
彼女は彼からもらった折り鶴を両手で持って暖かく笑っている。
「と同時に、私の愛してる人だ。」
誰かの涙が落ちて砕けた音が光り輝いている陽光で一段はっきりしている。
「おや、びっくりしたよ。」
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