水島新司作の『ドカベン』という漫画が昔、少年チャンピオン
という漫画雑誌に掲載されていました。
その中に、里中智（さとる）という小柄な投手がいました。
あだ名は、『小さな巨人』。
中学時代は、オーバースローで投げていたのですが、小さな身体を
より活かすために、アンダースローに変身。
そして、常勝明訓高校のエースとして君臨していたのです。
中学生の頃、身体が小さいところや顔立ちが里中智に似ているとと
言われたことがあり、私の中での目標が出来上がりました。
『小さな巨人』になること。
『小さな巨人』になり、世間をあっと言わせたいと思ったのです。
高校の授業でラグビーをしたことで、ラグビーの魅せられました。
その高校のラグビー部で練習させてもらったら、ラグビー部
顧問にセンスがあると褒められたのです。
『小さな巨人』になれるスポーツに出逢えたと思い、大学では
迷わずラグビー部に入部したのでした。
しかし、昨日も書いたように4年間怪我との闘い。
とうとう4年間レギュラーになれないまま、悔いを残したまま
大学を卒業したのです。
その後悔を挽回するチャンスが訪れたのです。
大学時代の同期の主将が所属する実業団チームにて、
私のポジションが空いているとのこと。
誘いを受ける中、迷いもありましたが、あの後悔は常に頭から
離れることはありませんでした。
よって、入部することを決めたのです。
ラグビーとは、大きくボールを奪い合うFW（フォワード）と、FWが
獲得したボールを繋いでトライに結びつけるBK（バックス）とに
分かれています。
現代のラグビーは、FWやBKというような役割分担はあまりなく、
それぞれの場面場面で状況判断をして、時にはBKがFWの役割を、
FWがBKの役割を担うこともあるのです。
しかし、昔はFWとBKの役割分担が明確で、どちらかというとFW
でグイグイ陣地を獲得するといったラグビーでした。
私が所属するチームは、グイグイ陣地を獲得するためのFWが
弱かったのです。
反面、BKには才能豊かな選手が揃っていて、FWさえボールを
獲得出来たら、他を寄せ付けないくらいの得点力を見込めたのです。
私が求められた役割は、FWがボールを取り合う時間を
少なくして、早くBKに球を供給することだったのです。
この役割は、私には見事に合っていたのです。
素早くボールが止まった位置に駆け寄り、素早くボールをBKに出す。
このタイミングが早ければ、相手ディフェンスの防御態勢が整わない
まま攻撃を仕掛けられるわけですから、得点力が更に上がったのです。
私はこのチームには欠かせない存在になれたのです。
大学時代との大きな違いは？
大学時は、自分のコンプレックスを払拭するためのプレーでした。
この時は、チームが困っている（FWが他チームより弱かった）こと
を、私のすばしっこさで補うことが出来たのです。
更に長所（BKが強い）を活かすことにもつながったのです。
自分でない自分で勝負するのではなく、チームの欠点を自分の
特性を活かして補う。更に、長所を活かすためにどうする
考えながらプレーする。
自分らしく闘うことの大切さを学んだ体験でした。