涼風の夜生を吹き返したような、とうとうと、 ふつふつと、こんこんと吹き渡る風 窓いっぱいに夜陰の冷気を吸いながら 残暑をしばし忘れていよう ハイビスカスの紅の色も、 イチジクの青い実も、 冷気の中で眠っている のろまなゴキブリが死んだふり、 ひっくり反ってそのまま 女房の手にかかる 熱暑の夜半を振り返る ひょうひょうと、さわさわと、 深みゆく夜の中で 贈られた風にありがとう <万の海里を吹き分けて涼夜あり>