午後三時半を過ぎて自然公園の一角に来た 。太陽は西空の遠い山並みの上にかかって、光芒の輪を大きく広げて照らしている。白いユニホームを着た野球少年の歓声を包むように、グラウンドの三方を囲った土手の上には老木の楓が夕日をいっせいに浴びて、赤々と葉を照らしていた。
上空は風もなく、薄い綿雲がポツンと黄金の光に縁取られて浮かんでいる。山々は夕映えの光をうけて一日の終りに向かい、グラウンドに長い影を落として少年たちの帰りを誘う。何事もない平和なひと時がグラウンドを一周する。
妻と愛犬タローは家に置いて来たけれど、このひと時がぐっと胸に迫った。
見るうちに夕日は山の端にかかり、赤い閃状光を木々の間から覗かせながら、だんだん暗赤色から山稜の黒い中へと沈み込んでいった。