今後社会で必要とされる人財像について | コンサルサルのぶろぐ-思考、読書、雑感などを語る

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唐突であるが年末に今後10-20年先に向けて、どういう人財が必要かをまとめる機会を、
私が関わるグローバルリーダー育成プログラムで頂いた。
一部まとめたレポートを公開したい。

1. はじめに

2006年よりグローバルリーダー育成プログラムの運営に携わらせて頂いているが、社会では大きく二つの人材が求められるようになったと考える。一つはグローバル人材(グローバルリーダー)であり、もう一つは社会起業家である。背景にあるのは世界がボーダーレス化・フラット化し、世界中の人々と働く必要性が出てきたこと。また今までの資本主義による市場だけでは、企業活動の利益の最大化を果たすことが難しくなり、より「社会益」(ソーシャル)から便益を得る必要性が出てきたことが受動的な要因として挙げられる。一方で若者の価値観も大きく変わってきており、単に大きな収入・富を得るという価値観から、人々の役に立ちたい、貢献したいという価値観が大きく社会として認められてきており、社会起業という言葉が認められるようになってきたことも背景にあるだろう。

では、今後社会でどのような人材が求められるのか?
ビジネス系SNSで有名な「Linkedin」では最近のキーワードとして、下記のような言葉をリストアップしている。

1. Responsible
2. Strategic
3. Creative
4. Effective
5. Patient
6. Expert
7. Organizational
8. Driven
9. Innovative
10. Analytical

Creativeという言葉よりも、ResponsibleやStrategicが上位に挙がっている点は特筆すべき点であろう。デザインや創造性という言葉が長らく注目されているが、現在の組織体系(大企業を頂点とする階層社会)においては責任があり、組織を正しい方向へ導こうとする人間を社会は求めると言えるかもしれない。

では長期の単位(主に2020年~2030年)をターゲットとしたときに、社会はどのような人間を求めているのか。いくつかのキャリアや未来予測の書籍から考察をしていきたい。


2. 結局はダーウィンの進化論が正しいのか?

いくつかの本から、今後の未来で必要とされる人財像に関するキーワードを抽出した。

1. 山岡「これからの世界」で働く君たちへ」
世界を変えられる人 – チェンジメーカー

2. 神田「2020年これから10年、活躍できる人の条件」
• 世の中に自分の意見を発信できる人 – エクスフォーメーション
• NGO・NPOというキャリアの意識:既存の組織に拘らないキャリア

3. 新将命「伝説の外資トップが説く 働き方の教科書」
• 座学、師匠、修羅場の3つを有した人
• 胆識を鍛えること
情報がある程度ある中で実行するのは判断・実行、情報が少ない中でアクションをするのは決断・断行 - 決断・断行ができるような胆力を持つこと
• 多長根の視点を持つこと - 多面的な視点で考えること、長期的な視点で考えること、根本は何かを常に考えること

4. 伊賀「採用基準」
NPO的活動でのリーダー経験がこれから必要である

5  横山「東大エグゼクティブ・マネジメント 課題設定の思考力」
A. 先駆的課題の発見に求められる教養
B. 横断的な組織をまとめるコーディネイト力
C. 技術と方法を結びつける応用力
D. 現実の仕組みを把握するデザイン感覚
E. 根源的かつ論理的に理解する精神
F. 「何を」よりも「どのように」という問題意識

6. 世界を変える偉大なNPOの条件
政策アドボカシーとサービスを提供する──第1の原則
①サービスを提供するだけでなく、政府と協力して政策転換を促す

市場の力を利用する──第2の原則
②市場の力を活用し、企業を敵視したり無視したりせず、強力なパートナーとみなす。

熱烈な支持者を育てる──第3の原則
③活動を支援してくれる個人が有意義な体験を行えるよう工夫し、彼らを大義のために動いてくれる熱烈な支持者に変えていく。

NPOのネットワークを育てる──第4の原則
④NPOのネットワークを築き、他のNPO組織を、希少な資源を競い合うライバルではなく仲間として扱う。

環境に適応する技術を身につける──第5の原則
⑤変化する環境に適応し、戦略的であると同時に革新的かつ機敏に動く。

権限を分担する──第6の原則
⑥社会変革の強力な推進者となるため、リーダーの権限を分担する。

7. リンダ・グラットン「ワークシフト」
【未来を形作る5つの要因】
テクノロジーの進化
グローバル化の進展
人口構成の変化と長寿化
社会の変化
エネルギー・環境問題の深刻化

【3つのシフト】
◆第一のシフト
一つの企業の中でしか通用しない技能で満足せず、高度な技能を磨く。
自分を差別化するために、「自分ブランド」を築くこと
◆第二のシフト
難しい課題に立ち向かうために少人数の盟友グループ、大勢のネットワーク、打算のない友人関係の三種類の人的ネットワークを築くこと。
◆第三のシフト
家庭や趣味、社会貢献など充実した創造的経験をすることを重んじる生き方に転換すること。



8. 21世紀の歴史――未来の人類から見た世界(ジャックアタリ)
• <超民主主義>というパラダイムの中で、利他主義者であり、世界市民である<トランスヒューマン>の到来の必要性
• トランスヒューマンの実現には、思想・哲学・価値観を共有できる超国家の組織体が必要

9. マーク・ガーゾン「世界で生きる力――自分を本当にグローバル化する4つのステップ」
• 本書で説明した四つの能力 ―― 直視する力、学習する力、連帯する力、そして助け合う力(ジオ・パートナーシップ)を開発すれば、私たちは「グローバル・インテリジェンス」(GI)を向上させることができる。 (P242)
• 「自らが変わる」「少数派の視点で考える」「学び続ける」「複数の言語を身につける

<参考>
Global Citizenship:Oxfam http://www.oxfam.org.uk/education/gc/
the Globalist http://www.theglobalist.com/

ダーウィンの進化論において「この世に生き残る生き物は、最も力の強いものか。そうではない。最も頭のいいものか。そうでもない。それは、変化に対応できる生き物だ」と述べたとか述べていないとか。但し、この環境変化に対応できるというのは非常に大事な視点であると考える。


3. 私の考察
2020-30年までをある程度楽観的に想定したときに社会は、下記がキーワードになるのではないか。

【社会】
グローバルな世界
サイエンス・テクノロジーの発達
環境(エネルギー・食料含む)への関心
より利他の世界へ転換

【人】
世界の平和のためにと高い志を持つ
いかに環境変化に耐え、新しい環境に対して先んじるか(複眼的考察)
学び続ける(修士号・博士号)
判断・決断ができる(真のリーダーシップ)
政治・経済・文化・社会の組織すべてを動かせる(連帯)
二つ以上の異なる性質の組織でリーダーである