【雑感】スマートグリッド最新記事 | コンサルサルのぶろぐ-思考、読書、雑感などを語る

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スマートグリッドんの最新記事です。


<スマートグリッド>新たな商機 電気、自動車など参入競う

7月13日22時30分配信 毎日新聞

 次世代送電網「スマートグリッド」に官民そろって熱い視線を注いでいる。太陽光など再生可能エネルギーの利用拡大に欠かせないシステムとされ、低炭素社会の実現に向け政府は積極的な実験や投資を進めており、年度内に国内4地域で実証実験が始まる予定だ。新たな商機とみて企業も次々と名乗りを上げ、関連ビジネスは盛り上がりを見せる。しかし、負担の在り方や技術的課題など解決すべきテーマも少なくない。【立山清也、米川直己、弘田恭子】

 ◇インフラ輸出 官民協議

 スマートグリッドは発電施設のほか、蓄電池や次世代自動車など関連分野のすそ野が広い。政府は6月策定の新成長戦略で、スマートグリッドを基盤にした環境関連ビジネスで20年までに50兆円の市場を創出するとしており、経済成長のエンジンの一つとして期待されている。

 今年度に横浜市、愛知県豊田市、京都府(けいはんな学研都市)、北九州市の4地域で始まる実証実験には計5000世帯が参加。電気自動車などを活用した次世代交通システムの普及や都市づくりなどの大規模実験でデータを収集する。現在は経済産業省と4府市で素案を策定中だ。

 4月には経産省の音頭で、海外へのインフラ輸出も目的に関連企業287社が参加した官民協議会が発足。また、日米で電力供給の不安定な地域に向けたシステム作りを目指し米ニューメキシコ州での実験も始まった。6月には沖縄県とハワイ州での実験に合意、離島向けの世界標準構築を目指している。

 米国が各地で取り組みを始めた背景には、国際標準で先手を打ち、有利に立つ狙いがあるとみられるが、欧州でも国境をまたいだ送電網で研究が進み、先進各国の取り組みは一気に加速してきた。

 「当社のスマートグリッドビジネスは、数年で1000億~2000億円の規模になる」。日立製作所の中西宏明社長は5月、東京都内で開いた記者会見で将来性を強調した。

 電機メーカー各社が注力するのが、効率的な電力管理ができる、双方向の通信機能付き電力量計「スマートメーター」。国内市場が14年には255億円と、09年の約8倍になるとの試算もあるほか、欧州連合が22年までに普及率を100%にする計画で、世界規模で数千億円市場になる見込みがあるためだ。

 日立は5月、電力メーター国内首位の大崎電気工業との提携を発表。スマートメーターの専門部署も4月に設置し、全社横断の体制で関連事業を拡大する。三菱電機は今後2年間で70億円を投入するほか、東芝も東京電力グループと共同出資会社を設立する。

 スマートグリッドでは自動車のバッテリーが家庭での電力貯蔵を担う。このため、次世代車普及を狙い自動車メーカーも相次いで実証実験を始めている。日産自動車は米ゼネラル・エレクトリック(GE)と、電気自動車の蓄電機能を活用した家庭への電力需給制御方法を検証する。トヨタ自動車も、風力発電事業を展開する日本風力開発などとハイブリッド車の蓄電機能などを検証する。

 ◇必要投資16兆円 負担重く

 期待が高まるスマートグリッドだが課題もある。経産省によると、20年までの民間による必要投資額は計約16兆円。電力会社だけでは負担しきれず消費者に転嫁される可能性がある。また、家庭の電力使用状況や自動車のバッテリー量に加え、さらなる生活情報などがやりとりされれば、情報セキュリティーへの懸念も高まる。

 インフラ整備などを含めコストが高いことから、原油価格が上昇しなければスマートグリッドは進まないという指摘がある。太陽光発電を効率的に利用するため、気象予報の精度をピンポイントで向上させる必要があるなどの技術的なハードルも多い。

 さらに、要となる電力会社も推進の立場ではありながら、積極的とばかりはいえない面もある。ある電力会社幹部は「スマートグリッドの発想は広大な大陸で電力ロスが大きい米国で生まれたもの。設備更新など資金がかかる割に電力会社としてのメリットは少ない」と話す。経済産業省幹部は「各段階でさまざまな課題が出ているのが現状だ。それでも、実現可能性を探るため技術の改良・高度化を進めなければならない」。夢の送電網の実現には今後も試行錯誤が続きそうだ。

 【ことば】スマートグリッド

 直訳すると「賢い(スマート)電力網(グリッド)」。IT(情報技術)を駆使して家庭やオフィスなどの電力需要と発電側の供給力を瞬時に把握し、効率的な送電を実現する。太陽光発電などの再生可能エネルギーは発電量が一定ではなく、電力網にそのまま流れ込むと電圧などに影響が出る恐れがあるが、ITや蓄電池を活用して電力網に流れ込む量を一定に保つ。これにより再生可能エネルギーの安定供給が実現し、二酸化炭素の排出削減にもつながるとされる。各家庭には通信機能を持つ高機能電力量計「スマートメーター」が設置され、例えば、晴れた日には太陽光で発電した電気を電力会社に売ったり、曇りの日や夜には家庭の蓄電池から電気製品に電力が供給される。また、電力会社も細かな料金設定が可能になり、割安な時間帯を選んで電気を使えば節約や省エネにつなげることができる。