生誕100年 東山魁夷展プレビュー その3
第1章 模索の時代
この「残照」は展覧会の図集の表紙にもなっている作品で、微妙に変わる山々の色合いと、遥かかなた先に光を残しているその美しさに目を奪われます。
この作品は、戦後、肉親を亡くされた画伯が、、「失意のうち」に登った房総半島の鹿野山からの風景を描いたものですが、この時、はじめて自然との一体感を得られたそうです。これと同じく、私の心に深く残っている事柄があります。それは戦時中、熊本に配属された画伯が、死と隣り合わせのような状況下で、熊本城天守閣跡から見た風景ー肥後平野やその先に連なる阿蘇山の雄大さに深く感動したという記述です。
「なぜ、今日、私は涙が落ちそうになるほど感動したのだろう。なぜ、あんなにも空が遠く澄んでいて、連なる山並みが落ちついた威厳に充ち、平野の緑は生き生きと輝き、森の樹々が充実した、たたずまいを示したのだろう。」(「風景との対話」)そして、この時のことを、「心の眼が開いた」と述べています。
常に「心の眼」を持ち続け、見、時には、立ち帰り、、さらに深化させていかれたのではないでしょうか・・・
その進む道はどこまでも・・・
第2章 東山芸術の確立
この「道」は、本展覧会では、遠目に遥かに見えるような感じで展示されていて、プレビューでは人もまばらであったため、絵に近づいていく時に、すでに遥かなる道を歩いていくような感じにさえ思えます。絵とは不思議なもので、私が
10数年前に初めて観たときの感じとは、また違った印象をこの「道」に持ちました。しいて言うならば、深い想いでしょうか・・・
質感がかなり重厚に感じられました。
好きな一枚になりました。
今回の展覧会ではこのたにまのスケッチも
印象的でした。単純化された構図であっても
綿密なスケッチに感動!
第3章 ヨーロッパの風景
存在感は素晴らしかった!
つづく
生誕100年 東山魁夷展プレビュー その2
画伯の作品で一番好きなのは、この「白馬の森」です。
長野の東山魁夷館で出会って以来、その青の世界と精霊のような白い馬に
魅せられてしまいました。今回、またこの絵に会いに、そして、そのほかの
「白馬にいる風景」に触れたくて、来ました。
白馬は「その姿は小さく見せているが点景ではなく、作品の主題」であり、
「心の祈り」であり、「描きこんだ動機は、”切実なもの”」
としていますが、「最終的には観る人の心にまかせて」います。
そのことが、観る者にとって、作品の存在の大きさをさらに広げていると思います。
事実、私にとって、観た折々の心象ー驚き、癒し、希望、喜び・・・を映し出すものでもありました。
今回、人もまばらな館内で、真っ先にこの「白馬の森」に駆けつけるという贅沢をさせていただきました。
逸る心を抑えて・・・
再び出会えた喜び・・・
「緑響く」
爽やかな「若葉の季節」
Feature 3 「白馬のいる風景」より
つづく
生誕100年 東山魁夷展プレビュー その1
生誕100年 東山魁夷展プレビューに行ってきました。HPで募集していた、限定100名
参加の催しです。運よく参加出来ることとなった私は
東京国立近代美術館に急ぎます。
あっ、あそこに!
とうとうやってきました!
こんなに誰もいないところでゆっくり鑑賞出来るなんて、なんという幸せ・・・
入り口を入って右手に、雪の中で一心にスケッチをされる
画伯の写真が。 まるで自然の中に溶け込んでいるかのよう・・・
画伯の生涯変わらぬ、絵に対する姿勢を
表しているような一枚です。
今回の展覧会は生誕100年を記念した、過去最大の回顧展です。代表作のほとんどが展示されています。 そして、作品は7つの章に分けられていて、そのほかに5つのテーマごとの特集展示があります。これは、今回、私にとって、楽しみの一つでもありました。
第1章 模索の時代
第2章 東山芸術の確立
第3章 ヨーロッパの風景
第4章 日本の風景
第5章 町・建物
第6章 モノクロームと墨
第7章 おわりなき旅
Feature 1 ドイツ留学
Feature 2 「自然と形象」と「たにま」
Feature 3 白馬のいる風景
Feature 4 窓
Feature 5 唐招提寺の障壁画
そして、プレビューということで、留意事項はありましたが、会場撮影が出来ました。
つづく












