とても不思議な本であった。
ファンタジーの話ではあるのだが、どこか現実味があり、いつか『コンビニたそがれ堂』に出会うことが出来て、奇跡を起こしてくれそうな、そんな本であった。
『コンビニたそがれ堂』とは、風早の街のとある場所にあり、何かを探し求めている人にしか見つけることが出来ないというお店、しかしそこにはこの世にあるものならば、なんでも置いてあるという不思議なお店だ。そのお店は変わった店主が開いている。
セレクション、というだけあって、この本は『コンビニたそがれ堂』シリーズの中から選りすぐりのお話を選び、1冊に纏めたものである。
ただ纏めただけではなく、この本の表紙の装丁はとても綺麗であり、中の紙の所々に素敵なイラストが描かれている。
恥ずかしながら私はまだ、シリーズとしての文庫本をまだ読めてはいない、が、このシリーズに手を出す、という点においては良かったように思う。
このセレクションの中で私が最も気に入った話は、書き下ろしである『天使の絵本』だ。
1人の老人と昔出会ったとある少女のお話である。
彼が探し求めていたのは『この世には存在しない』ものであった。その旨を店主に述べた老人は、昔話を始めた。彼の幼き頃の記憶である。その老人の話に私は物語の世界に一気に引き込まれた。ネタバレ防止のために敢えて内容は伏せておくが、読んだ時間を無駄とは思えないお話であった。是非読んでほしい1冊である。
上記した通りこのシリーズを読み始めるにあたって、この本はいい本だと思う。ただ、文庫本ではないため、通勤通学で読むのには少々不便かもしれないが、それでも読んでほしい、そんな本だった。