1969年東京オリンピックを舞台にしたサスペンス小説「オリンピックの身代金」。オリンピック開催に熱狂する多くの国民。その熱狂に反発を感じた主人公がダイナマイトでオリンピックの妨害を試みる。
昭和39年。日本はアジア初のオリンピック開催に沸いていた世の中。でも、この小説の主人公は、それを醒めた目で見ている。
その話を読んで,思い浮かべたのは、実は母の思い。自分が生まれたのは昭和36年。その年に父親の経営する会社が倒産。
多額の負債を抱えた。(昭和36年で2000万だったとか)なんとか経済を立て直そうとする両親。オリンピック騒ぎは、その最中だった。
母は、あのオリンピック騒ぎには、ふざけるな!という気持ちになったそうだ。華やかな国民的なイベント。周囲は大騒ぎだった。
しかし、その中で不運な人たちは、その落差の激しさに憎悪を深める。小説は、そんな時代に取り残された人びとを思い浮かべた。
種類は違うけど、あのオリンピックに酔うことの出来なかった、この小説の主人公と、自分の母の姿が重なった。
1億人の国民のほとんどが熱狂した69年の東京オリンピック。しかし、そのほとんどに属せない人たちもいた。光が強烈に強い分、影はさらに色濃くなる。
奥田秀朗の小説読んで、思い浮かべた母の思い。
