池井戸潤、2009年吉川英治文学賞・新人賞受賞作「鉄の骨」を読む。映像が浮かぶ展開のうまさ。 | con-satoのブログ

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 池井戸潤が吉川英治文学賞の新人賞を受賞した2009年の作品「鉄の骨」を読んだ。主人公は中堅ゼネコン入社4年目の若手社員、富島平太。



 

 物語はマンション建設現場から始まる。あらくれ者が多い現場。若い平太は作業員になめられる。それでも現場が好きな平太に異動の命が下る。

 

 本社の業務課。そこは公共事業の受注獲得をするセクション。わずが4人の部員ながら、やり手専務と直にやり取りをする社内の核ともいえる場所。談合の現場だった。

 

 社会悪とされる談合。主人公の若き平太は、談合なんて、社会悪だと思っている。しかし、業務を進めるうちに先輩社員がいう「必要悪」の部分も理解できるようになる。

 

 物語は2000億規模の地下鉄発注をめぐるゼネコンの争い、談合の内幕が描かれる。

 

 池井戸潤の経済小説。素人にも建設業界の仕組みをわかりやすく伝えている。ニュースで見る「談合」という言葉の実態も見えてくる。

 

 小説としてうまいのは若くて、熱血、真面目な男子を主人公に据えたこと。池井戸潤の小説は、設定も物語展開もそのまま映像になる。映像化した作品がヒットするのは当然。

 

 この作品も2度もテレビドラマ化されていた。(知らなかった)1本は神木隆之介、もう1本は小池徹平。どちらも小説にイメージに合う。(見てないけど)

 

 映像化に関して少しだけ残念なのは、ほとんどテレビドラマだということ。映画は少ない。映画で傑作になれば、作品の命は永遠になる。(例えば「国宝」は原作と共に5年、10年、あるいはそれ以上、人々の記憶に刻まれるだろう。「風と共に去りぬ」などは、その最たる例。映像(映画)と小説が一体化して、語り継がれるようになる。)