25年スクリーンで観た映画157「年少日記」少年の癒えない心の傷を繊細に描く香港映画 | con-satoのブログ

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 香港映画「年少日記」。描かれるのは優秀な弟と比較される鈍臭い兄。DV気味の父親からは「お前の取り柄はかわいい顔だけ」と蔑まれる。母親は子供の躾がなってないと父親から殴られる。父は優秀な弟だけを猫可愛がり。弟はそんな兄、母を冷たく見放している。

「年少日記」★★★☆☆

 映画の出来としては悪くない。完成度は高い。ただ、人に勧めたくなるような映画かといえば別。たとえば先日観た日本映画の「金子差入店」も悲惨な環境の話だけれど、救いがある。

 この映画には、そんな救済されるようなポイントがない。物語は、過去の少年時代を、教師になった男が懐古する形で進行する、自分の担当する生徒と変わらない年頃だった自分。

 途中登場する父親はかつての勢いを失い、死にかけた老人になって落ちぶれている。どうして、父が力を失ったのか、母との関係はどうなったのかは、映画では一切説明しない。

 それはそれで、潔い語り口。この映画の端正さは悪くない、主題にもあっている。でも、その分、救いがないのだ。

 ああ、あの時、こうしておけば良かったなんて、後悔してもはじまらない。過去は戻ってこない。そんな重苦しさが、この映画の世界観を支配しているのだ。この窮屈さは今の香港が置かれた状況だという意味なのだろうか?