今年のアカデミー賞で有力候補作品と目される「ブルータリスト」。主演は「戦場のピアニスト」のエイドリアン・ブロディ。彼が演じたのはヨーロッパからアメリカへ逃れてきた建築家。本国では有名な(バウハウスの)建築家だったが、アメリカでは無名。同じユダヤ人の友人が経営するフィラデルフィアの家具屋専属の設計士になる。そこで請け負ったお金持ちの図書室。あまりに大胆過ぎて、持ち主の怒りを買い、未払いになってしまう。友人との関係も微妙になり、彼はそこを去り、放浪する。
「ブルータリスト」★★★★★
久しぶりに休憩の入る新作を観た。インターミッション15分を挟んで、3時間40分の大作。ナチがらみのユダヤ人の話だと思って観たが、物語は戦後のアメリカが舞台。
背景としてはナチの影響はあるけど、そこは前面には見せない。むしろ、物語の主軸は建築の話。
プロディが演じたのはバウハウスの建築家。戦前はヨーロッパでは名声を得た人。アメリカでは、そのキャリアを隠している。
しかし、施工主は後年、彼の名声に気がつき建築を依頼する。しかし、それもなかなか上手く行かないというのが後編のドラマ。
さらに後編ではヨーロッパから妻がやって来るが、こちらも波乱含み。妻と一緒にやって来た姪は結婚を機にイスラエルへ渡るという。
アメリカに渡ったユダヤ人というと金融や法曹などで活躍するリッチな人々を想像する。
しかし、この主人公は、その名声も富も簡単には得ることができない。
エイドリアン・プロディは才能はあるけど、頑固で不器用な男を3時間半、出ずっぱりの力演。面白いキャラなのは、ピアースが演じるフィラデルフィアのお金持ち。まさにパラノイアそのもの。この人は一見正統派二枚目なのに変わったキャラを演じると光る。
映画として好きな映画かと問われば、そうではないけど、力のある映画であることは間違いない。3時間半を飽きせずに見せる映画なのだから。

