「ゴッホは欺く」エンタメ小説の帝王、ジェフリー・アーチャーの旨味堪能①9.11とゴッホ | con-satoのブログ

con-satoのブログ

映画を中心にエンタメ、旅などを紹介しています。

 文庫の帯に「ジェフリー・アーチャー復活!」と大きく謳われていたのは2019年の「ゴッホは欺く」。舞台は2001年9月のNY。あくどい銀行家フェンストンは、他では担保になりづらい美術品を担保に受け取り、貸付をする。美術資産を遺産として受け取った金持ちをターゲットに貸付をして、美術品を乗っ取ろうとする。あわよくば殺人も辞さずという手口。


 主人公のアンナは美術鑑定士。クリスティーズに勤めていたが、トラブルに巻き込まれて退職。今はこの悪徳銀行家の下で働いている。

 今、ターゲットにされているのは英国の資産家の娘ヴィクトリア。名門ながら父親の散財のせいで負債を背負いこまされている。その解決のために悪徳とは知らずに、この銀行家を頼る。彼女の一番の資産はゴッホの自画像。

 フェンストンの悪略を悟ったアンナはヴィクトリアに警告をしよとする。しかし、それがバレてアンナは解雇されてしまう。それは9月11日だった。オフィスがあったのは、貿易センタービルのノースタワー。アンナは死亡者リスト入り。

 時を同じくして英国のヴィクトリアは何者かに殺害されてしまう。さて、犯人は、ゴッホの絵の行くへは?という展開。さすが、アーチャー。リアリティはありながらも、ハラハラさせて最後まで読ませる。

 人物の性格設定が見事。どこまでもあくどい銀行家のフェンストン。彼にもアンナにも共通した過去がある。それはチャウシェスク時代のルーマニア。二人とも彼の国からアメリカへ渡ってきた移民。しかし、生活信条は真逆というのも面白い。アーチャの徹底した「アカ嫌い」が反映されている。