24年映画は映画館で207「風が吹くとき」ほのぼのとした絵で描く核戦争の恐怖 | con-satoのブログ

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 1986年に公開されたイギリスのアニメ映画「風が吹くとき」が再上映中。ウクライナ戦線でロシアが核攻撃の可能性を示唆したことから、ふたたび核の恐怖に注目が集まっている今にふさわしい再上映。

「風が吹くとき」★★★★☆

 主人公は年老いたおじいさんとおばあさんにした事が、このアニメの特徴。この二人は先の戦争を体験して、生き延びている。そんな老齢の夫婦が核の被害を受けるさまが描かれる。見えない被害が二人を襲う。見えないという怖さは、最近では福島の原発事故で多くの日本人が体感したこと。

 ひとつ引っかかるのは、第二次世界大戦をあたかも「いい戦争」のように語ること。ロシア人をいい人といい、スターリンを褒めたたえる。これには違和感を感じる。

 戦争に「いい戦争」なんてない。まして、日本人にとって、あの大戦でのロシアの卑劣さを忘れることはない。

 そのスターリンがいい人で、ロシア人もいい人だったと懐古されるのは、イギリス人には、そう見えるのか、作者側の考えなのか。

 それに、おじいさん、おばあさんの善人ゆえの無知ぶり。「広島も、もっと知識があったら、被害が防げたのに、あの頃は、そんな知識もなかったから」などというセリフ。

 揶揄的な表現なのだろうけど、これがイギリスの認識と思うと、日本人としては、ちょっと切ない。反核戦争映画としての価値とは、また、別なものを感じた。