アメリカの脚本家ロバート・タウンが亡くなった。89歳ということなので大往生だろうか。
タウンの代表作はロマン・ポランスキーが監督した「チャイナタウン」。1975年のアカデミー賞では作品、監督、主演男優、主演女優など最多11部門にノミネートされたが、受賞したのはタウンだけだった。(GG賞では作品、監督、主演男優、脚本の4部門で受賞)「ゴッドファーザーPART2」という強力なライバルがいたとはいえ、何とも不運な賞レースだった。
しかし、このタウンの書いた脚本は完璧。まるでハメットかチャンドラーが原作のようなハードボイルド・ストーリー。
この映画、のちにジャック・ニコルソンが「黄昏のチャイナタウン」として続編で初監督を務めた。それほど思い入れのあるキャラクターだったのだろう。
タウンといえば、ハリウッドのシナリオ・ドクターとして有名。脚本に問題が発生した時、映画として完成するように脚本を書き直す人。
一番有名なのは「ゴッドファーザー」。コッポラに依頼されて手直しをした。ただし、クレジットはされていない。「俺たちに明日はない」「天国から来たチャンピオン」などもクレジットされずに手直しした作品。
オスカーには4度ノミネートされているが、この回数では足りないほど、多くのハリウッド映画を影で支えた人。今はタウンのような人がいないのが、ハリウッド映画が弱くなっている理由のひとつではないか。
業界からリスペクトされ、頼られたシナリオ作家。
ニコルソンだけでなく、ウォーレン・ベイティ、トム・クルーズからも絶対の信頼を得ていたハリウッドのプロフェッショナル。