新垣結衣が主演した「違国日記」。彼女が演じたのは大嫌いだった姉の娘を引き取る小説家。姉は交通事故で亡くなる。母とは事実婚だった父親も同じ事故で亡くなり孤児になった15歳の姪。葬式の場で、今まで付き合いのなかった姪と同居すると宣言してしまう。
恋人(瀬戸康史)とも、人と同居は無理といい、別れたのにと、友人の編集者(夏帆)は呆れて、心配する。
「違国日記」★★★★☆
新宿の映画館は満席、女性8割。映画のシチュエーションとしては珍しい展開ではないけど、新垣結衣をはじめ、登場人物の機微が細やかに描かれる。
新垣結衣はクールな女性をこれ以上ないほど的確に表現。「ミッシング」の石原さとみが熱演で主演女優賞候補だとすれば、新垣結衣はクールな演技で主演女優賞の有力な候補。
この媚びない、笑わないキャラがいい。新垣結衣は前作「正欲」でも意欲的な役柄に挑んでいたけど、この映画はまさに、最適な役柄。
元カレの瀬戸康史もいつもながらいい。いい意味で適当な好青年なのだ。女子力で友人を支える夏帆も好感度が高い。
孤児になってしまう朝役の早瀬憩も自然な演技。おばあちゃんの銀粉蝶まで、無駄のないキャスト。2時間19分と、なかなかに尺のある映画なのだけど、無駄な部分がないのだ。
高校生の友人が同性が好きだというエピソードも嫌味がない。他の生徒とのエピソードも今どきを、さらりと伝える。
唯一、弱いかなと思ったのは、新垣結衣が姉を嫌う理由。あそこまで嫌う決定的なものは映画の中では説明されない。あれで、あそこまで嫌うのか。