デビューしてから50年でたった4本しか監督作品がない、超寡作の映画作家、ビクトル・エリセ。
現在、30年ぶりの新作「瞳をとじて」が公開中。その公開に合わせて、旧作が再上映。「エルスール」を観た。
1983年の作品。世間では文句ない傑作と位置付けられて、エリセのファンの間では「ミツバチのささやき」より上だという評価もあるほど。
その名作、なぜか当時は観ていなくて、スクリーンで観るのは今回が初めて。
上映時間は95分。エリセは3時間を前提に映画製作していたらしいけど、製作陣と揉めて半分の95分になったとか。
確かに新作は3時間。そういう過程があったからか、自分には、大傑作とは思えなかった。物語を語るというより、イメージの連続。それをポエティックと感じるべきなのだろうけど、残念ながら詩的なセンスが自分にはない。
自分の感覚では、小さなエピソードを重ねて3時間かけた新作の方がピンとくる。その意味ではエリセが作りたかった3時間バージョンはどんな映画だったのだろうか、と妄想が広がった。