24年映画は映画館で54「風よあらしよ」吉高由里子には、なぜか意志の力で生きる女が似合う | con-satoのブログ

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 吉高由里子が主演した「風よあらしよ」。彼女が演じたのは大正の詩人、伊藤野枝。女には勉学はいらないと家から勘当されながらも、自由を求めて、生きた女性。平塚らいてふに憧れ、大杉栄と共に死んだ生涯が描かれる。


「風よ嵐よ」★★★★☆

 大正の震災の時に、世の中の混乱に乗じて殺されたアナキスト大杉栄。大戦の合間のわずかな大正のエポックな時間に生まれたアナキズム。この思想がもてはやされた裏には貧富の極端な差がある。

 世界的にはロシア革命が起こり、共産主義や無政府主義が世に行き渡るようになる。平塚らいてふは、この主義者ではないが、時代に逆らい、女性の自立を主張した。

 そのシンボルが「原始、女性は太陽だった」という言葉。その言葉に惹かれたのが、この映画の主人公の伊藤野枝。演じるのが吉高由里子。不思議に、自分を信じて道を切り開く女性キャラクターが似合う。

 朝ドラ「花子のアン」も、現在放映中の「ひかる君へ」も、どちらも力強く生きるヒロイン。これを大竹しのぶのような女優が演じたら、立派だけど、暑苦しい、近寄りたくない女になってしまう。吉高由里子のちょっとちゃらんぽらんなキャラが逆にしなやかに映えるのだ。

 大杉栄を演じる永山瑛太も良かった。今年の映画賞に輝く「福田村事件」でも大正大震災の時に起こる根拠のない噂の犠牲者を演じている。瑛太が演じると、虐殺という殺伐としたシーンに、人間の持つ哀しみと可笑みが見えるのだ。

 吉高由里子、瑛太の軽やかさが、この陰惨な物語の救いになる。

 あの震災の時は想像を絶する被害で、人々のモラルが崩壊した。根拠のない悪質な噂が本当のように流布される。

 対して、今は混乱期ではないはずなのに、ネットで心ない情報が発信される。そこで犠牲者が生まれる。大切なのは心ない言葉には動揺しないこと、それを利用する権力者には注意を怠ってはいけないこと。