直木賞候補だったことも、ドラマ化されていた事も知らずに、新野剛志「あぽやん」を読む。 | con-satoのブログ

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 新野剛志の「あぽやん」を読んだ。たまたま、本屋さんで見かけて「航空業界のお仕事小説」に興味を持って購入。解説の担当が北上次郎だったので、この人が解説を請け負うならば、それなりの小説だろうを見込みをつけて買った。読み終わって、この小説が直木賞の候補作に選ばれていることや、ドラマ化までされていることを知った。


 主人公は成田空港に勤務するツーリスト会社の社員。タイトルの「あぽやん」は飛行場務めという意味。アポとは業界用語のエアポートの略称。

 その言葉ができた時には、単なる通称で裏の意味はなかったらしいが、今や「空港業務員」には都落ちなイメージがあるという設定。この小説の主人公は「あぽやん」を命じられ「左遷された」と思っている。

 30を目前にして「これでいいのか?オレ?」と思いながら、さまざまな業務、人間関係に揉まれ成長していく姿が描かれる。

 旅好きなので、航空業界の裏側を見せてもらって、楽しめた。そうか、裏ではこんなことが起こっているのかと。

 オーバーブッキングぐらいは知っているけど、実際には体験したことはない。精々遅延ぐらい。中には半日近いなどということもあったけど、それはそれでパプニングとして楽しめた。

 しかし、その業務に携わる人には気苦労が絶えない職場なのだと理解できた。さすが直木賞にノミネートされるだけあって、人物関係の描写が巧み。

 交際する航空カウンター勤めの女性は、かなりの酒豪というのも笑える。デートしても彼女は酔わないので、なかなか交際が発展しない。

 本社の強引な営業部長のいやらしさなんて、お仕事小説のヒールとしても良くできている。

 今度成田に行ったら裏ではこんなことが起こっているだなと想像して旅を楽しみたい。