コロナ前までのおよそ30年間。時間を作ってでも海外に出かけた。だいたい年に5回平均。
国内旅行もいいけど、気分転換という意味では、究極の非日常として海外に行くことは最適。言葉はもちろん、時間だって行く国ごとに違う。
その中で渡航回数が一番多いのはパリ。タイトルでは50回と書いたが正解ではない。30回ぐらいまでは正解にカウントしていたけど、以降は回数を数えていない。
その中でおよそ1か月程度滞在したのが3回。そのぐらい滞在すると、ずっとパリにいるワケではなくて、パリを起点に、さらに先の旅に出た。
モロッコやチュニジア、エジプトなど北アフリカに行くことが多かった。北アフリカはフランス語圏。フランスからはLCCが数多く就航していて、日本では想像でさないほど安価で行ける。東京からならLCCを使って安く沖縄に行く感覚。
そんなパリでは映画を良く観る。東京も映画環境としては世界レベルだと思う。でも、パリはその上。アートの街だけど、そのアートに映画がしっかり組み込まれている。これが映画ファンとしては嬉しい。
列車に乗って移動している時に、向いに座った見知らぬおじさんたちが「北野ブルーについて」語っていたりする。
街歩きをしていて、ジャン=ジャック・アノー、ミハイル・ハケネ、トラン・アン・ユンなどの映画監督に出くわしたこともあった。
それだけでなく、ジェレミー・アイアンズやベニチオ・デル・トロのようなオスカー俳優さえ普段着で歩いている、それがパリ。
カンヌのシーズンになるとパリの街でもカンヌ映画祭のポスターが街をにぎわす。日本映画も良く上映している。
現役の作家では宮崎駿、北野武を別格として是枝裕和、黒沢清などもコンスタントに新作が上映されている。
名画座では小津、黒澤などなど。一番最初にパリで日本映画を観たのは成瀬巳喜男の「流れる」。
10区のリパブリック広場に近い下町の劇場。普段は演劇を上演している小さな劇場で成瀬特集をしていた。そんなところがパリらしさ。
映画は向島の花柳界の物語。芸者の「お母さん、おはよう」なんてセリフに「Bonjour madame」なんて字幕が付く。間違いじゃないんだけど、ちょっとした違和感。それが面白かった。