伝説のオペラ歌手、岡村喬生が案内する案内書「オペラの時代に」のわかりやすさ。 | con-satoのブログ

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 ヨーロッパで活躍したあと帰国して日本のオペラ界の重鎮だった岡村喬生。帰国した80年代冒頭にはテレビで夜のワイドショーの司会などもしていた。恰幅のいい、いかにもバリトン歌手という風格の人だった。

 その岡村喬生が書いたオペラの指南書「オペラの時代に」。サブタイトルに「歴史と名作を楽しむ」とあるようにオペラの成り立ちが、名作の見どころ、聴きどころをわかりやすく解説している。

 さすがにヨーロッパで数多くのオペラで活躍した人なので、その解説に説得力がある。それだけでなく、平易な言葉を選んでくれているのでわかりやすい。

 それにしても、歴史とオペラはこんな深い相対関係だったのだと、改めて感じ入る。そんな歴史背景の上にモーツァルトやバッバがいて、それがヴェルディやワグナーに繋がっている。

 オペラの歴史を時系列に繋いでいるので、その点でもわかりやすい。トリを務めるのはプッチー二。なかなか彼の名前が出てこなかったので、岡村さんはプッチーニみたいな、わかりやすいドラマ性が苦手なのかなと読み進めていた。

 19世紀オペラの時代を飾ったプッチーニ。オペラの(ある時は過剰なほどの)悲劇的なドラマ性。それを極めたのがプッチーニ。最後のプッチーニ登場でオペラって、やはり総合芸術なのだと再確認。