公民権運動に大きく影響されたとアメリカ人に記憶される1955年の「エメット・ティル事件」を映画化した「TILL」。タイトルロールの「TILL」は14歳の少年。シカゴで育った14歳の少年。夏休みを親戚のいる南部、ルイジアナへ行く。シカゴでも黒人差別はあるけど、母親からは「南部はシカゴと違うから気をつけるように」と注意される。その少年が白人女性に言い寄ったことで起こる悲劇が描かれる。
「TILL」★★★☆☆
立派な主張の映画なんだけど、好きかは別。正直、声高に「主義主張」を振りかざすのは苦手。今もBLM問題があるように、決して差別問題は片付いていない。そこのことに無力さを感じる。
それにリアルなことをいえばアジア人を一番露骨に差別するのは黒人だったりするのだ。結局差別なんてなくならないのではないか。社会意識は少しずつ進歩していくけど、大声をあげても急に変わるものではないのではないか、というのは個人的な考え。それじゃ変わるものも変わらないよと怒られそうだけど、それでも、少しずつ良い方向に向かえばいいのではないか。
その意味で意義はある映画だと思うけど、映画という手段で訴えるなら、もっと違う表現があるのではないか、と感じた。