映画(だけに収まっていないけど)評論家、町山智浩。同世代なので、若かりし頃から知っていた。彼が「宝島」の副編だった頃、共通の友人が何人かいた。向こうはスター編集者、こちらはただの弱小出版社の社員なので、こちら側が一方的に知っているという存在。
その後、彼はフリーになり、売れっ子評論家になる。週刊文春の連載は10年を越えている。
そんな町山智浩が書いた映画本「最も危険なアメリカ映画」を読んだ。
取り上げられているのは往年の映画がほとんど。グリフィスの「国民の創生」からスタートする。映画の父といわれるグリフィス。しかし、この「国民の創生」はKKKを復活させた映画として今は認知されている。あの白頭巾姿は以前にはなくて、この映画のスタイルを模倣したものなのだ。
その程度のことは知っていたが、町山智浩の映画的な教養はもっと深い。ウォルト・ディズニーが自主製作した「空軍力による勝利」。このアニメは東京空襲を予想させるような内容だったそう。右翼的といわれた、ある意味、ウォルトらしい態度。そんな映画も紹介されている。
ゲーリー・クーパー主演で有名な「摩天楼」も右派的な政治的なメッセージが秘められていたと書かれている。原作者のアイン・ランドはリバタリアンの指導的立場の存在で、絶対的な自由経済四至上主義。それが富の偏りを進めているのだと町山は書く。
彼は民主党絶対主義。オバマを絶賛する姿勢はある意味、有り体のリベラルな人。その点には疑問も感じるけど(リベラル絶対主義の人は、少しでも、その姿勢を批判すると「右翼!」という)、それでも彼の映画的記憶。教養は本物だと思った。
