今年のアカデミー賞で最多ノミネートを受けた「パワー・オブ・ザ・ドッグ」。もちろん作品賞の最有力といわれていたけど、結果はジェーン・カンピオンの監督賞だけという意外な結果になった。
Netflix作品だったからといわれたが、作品賞を受賞したのはAppleの「コーダ」だったのだから、それが理由ではなかったと思う。フランス映画のリメイクながら(ほとんどの人はオリジナルを観ていないだろう)ハートウォーミングが内容が受けたのだと思う。
逆に、この作品は女性監督が西部劇の伝統をひっくり返そうとしていると、作品の質とか関係ない部分で反発されたのだと思った。
主人公の女性(キルスティン・ダンスト)は結婚して、西部へ向かう。そこには義兄が住んでいる。威圧的に彼女に接する義兄。しかし、彼女の子供が成長すると彼が変わっていくという話。
「パワー・オブ・ザ・ドッグ」★★★★☆。やはり作品賞には値しなかったかな、と思った。(「コーダ」も)理由は映画としては完成度が高くても、あまりにも主観的な価値観に基いた作品だから。主演男優賞候補になったベネディクト・カンバーバッチも素晴らしい。はっきりいってウィル・スミスの数倍は名演だと思う。「ピアノ・レッスン」からずっと揺るぎないジェーン・カンピオンの人間観。男性も女性も関係なく「個」で生きることへの執着が気持ちいい。日本の時代劇と同じで、保守的な価値観に支えられるジャンルなので、そこに、これまでの価値観を否定するような事柄を描くことに抵抗感を持つ人もいるのだろう。独特の世界観なので、誰もが共鳴とはいかないだろうと感じた。

