パゾリーニの特集が上映中。イタリアの裕福な家庭に「性のイコン」のようなテレンス・スタンプが登場。それぞれの価値観、人生が変化していくようすを描く「テオレマ」を観た。
女主人を演じるのはシルバーノ・マンガーノ。ソフィア・ローレンと同時代のイタリアを代表する女優。面白いのは二人とも、伴侶はイタリアの大プロデューサーだということ。ソフィアはカルロ・ポンティ。(代表作は「鉄道員」「ふたりの女」「道」「ドクトル・ジバコ」など多数)マンガーノはディノ・ラウレンティス。(代表作は「道」「天地創造」「セルピコ」「ハンニバル」から「キングコング」など多数)ビスコンティの「ベニスに死す」でも素敵なマダム役だったマンガーノ。ここでも、息をのむほど美しい。
映画はスタンプの美しさに、 狂わされる世界が描かれる。パゾリーニなので、それはセクシャルな表現で描かれるが、イタリア人らしく宗教的でもある。
このバランスが面白い。劇場は意外に満員。パゾリーニって、今ぽいのだろうか?でも、決してわかりやすい監督ではない。前に座っていたおじさんは途中退場したし、隣りのおじさんは大半は寝ていた。だって、パゾリーニだもん、普通の価値観の映画ではない。
ヴィスコンティほど上品じゃないし、文学的といっても、パゾリーニのスタイルはかなり衝撃的な変態文学的。途中、退場は正解かも。
それにしても、皆を狂わせるテレンス・スタンプのブルーアイズの美しさ。彼をキャスティングしたことで作品の完成度が保証されたようなもの。