ブラックアクターとして、初めてアカデミー賞主演男優賞を受賞したシドニー・ポアチエが亡くなった。アメリカでの報道の大きさはわからないけど、日本では一部のネットメディアで見かけた程度。
若い人には誰?という存在だろうけど、このアカデミー賞主演男優賞を黒人として初めて受賞したというだけで、十分、映画史的には重要なこと。
ポアチエが活躍したのは50年代、60年代。キャサリン・ヘップバーンとスペンサー・トレイシーというハリウッドのインテリ黄金コンビの最後の共演作「招かざる客」で、彼らの娘の結婚相手として登場する。知的階級の夫婦は進歩的な思想の持ち主。表面上では彼を歓迎するが、という展開。
出世作になった「手錠のままの脱獄」やアカデミー作品賞に輝いた「夜の大捜査線」は差別的な白人と心ならずも行動を共にする男。最初は差別に凝り固まっていた白人は、ポアチエの立派さに、最後は彼を認めるという展開。
白人が認める威厳のある黒人というのがポアチエだった。しかし、このスタンスが近年、黒人から批判を浴びていた。「白人に擦り寄りすぎた黒人だった」というのだ。
確かに、白人の考える理想の黒人をポアチエは演じたかも知れないが、それは黒人に限らず理想のアメリカ人でもあったのではないか。
ポアチエへの非難を少し残念に思っていた。そんなポアチエの死。やはり時代の変化を感じた。

