今年映画館で観た319本目「楢山節考」世界の今村になったカンヌ最高賞映画 | con-satoのブログ

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 今村昌平がカンヌ国際映画祭で最高賞「パルムドール」に輝いた83年の映画「楢山節考」。この映画を東映本社にある「丸の内東映」で観た。

 東映映画で唯一のカンヌ最高賞受賞映画。実は東映はまさか、この映画がパルムドールに輝くとはまったく思っていなかったそうだ。

 実はこの年、カンヌでは大島渚の「戦場のメリークリスマス」が上映されていた。誰が見ても国際的な知名度、話題性共に、この年のパルムドールは大島に決まりと思っていたそうだ。

 それが国際的には無名だった(国内では大巨匠だったけど)「新人」今村の登場は衝撃を持って迎えられ、逆転、今村の勝利になった。そんな事情もあって、主演の緒形拳も監督もカンヌには行っていない。(映画祭に参加したのは、共演した坂本スミ子だけ)

 そんな今村が初めて国際的な評価を得た作品。実は当時見逃している。この素材では木下恵介の58年の名作が有名。姥捨の話を今更観なくてもと思ったのだ。若い時は、天邪鬼で「グランプリ映画」と騒がれるとパス!と気取っていたのだ。

 さて、そんなことがあって初めてスクリーンで観た映画。さすがに今村昌平らしいエネルギーを感じさせる映画だった。この映画「死にゆく」映画ではなく「生命の執着」する映画。「生」の力が強い。しかも、それは生きてゆくことの単純な讃歌ではなく、ある種の残酷さが表現されている。それでも人は生きてゆくのだという、生への肯定。

 特に今村らしい凄みが現れているのが、左とん平と清川虹子の濡れ場。村人の若者に体を預ける倍賞美津子の役もすごい。逆夜這いみたいな設定。この役を受ける倍賞美津子は並じゃない。さすが。単純な老人放棄の映画ではなく、感傷も排した描写。なるほどヨーロッパに人には強烈な印象を与えたわけだ。(彼らは木下版があることなんて知らない)