今年映画館で観た227本目「ミス・マルクス」資本論、カールの奔放な娘 | con-satoのブログ

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 カール・マルクスの娘が主人公になった映画「ミス・マルクス」。物語はマルクスの葬儀から始まる。残された娘は父の思想を拡めるために社会活動をする。

 舞台になるのは19世紀末のロンドン。近代産業が現代的スタイルに変わる前夜。「オリバー・ツイスト」の時代。劣悪な環境で子供でさえ、重労働をさせられた時代。マルクスの娘は父の意思を受け継ぎ、社会改革に挑んでいる。

 しかし、映画で描かれるのは、そんな真摯な社会活動家の面よりも、奔放なセレブのお嬢さんぶり。ここで描写されるマルクス一族はなかりブルジョアな生活。姉はフランスの田舎でお城のような邸宅に住んでいる。

 三女の彼女は浪費家の男と実質的な夫婦として暮らしている。この男は他の女と結婚しているが、妻が離婚に応じないので、彼女とは実質の関係。しかし、彼女だけでなく、手当たり次第に女漁り。さらに、父の親友エンゲルスにまで返せないほどの借金をする。

 しかし、彼女は惚れてるからと、すべてを許す。これが聖女のような包み込むような情愛ではなく、日本の宮様の問題の娘さんみたいな前後を考えない猪突猛進な恋愛。ちょっと困った、お嬢さんなのだ。

 映画は史実と思われる部分はストレートに描いているけど、なぜか音楽はパンクロック調。最後にはロックの音楽に乗せて彼女が踊るシーンまである。シリアスな描写と、とんがった演出の噛み合わせは悪い。

「ミス・マルクス」★★☆☆☆。マルクス一族がこんなブルジョアな生活をしていたとは思わなかった。「資本論」を書いたからといって清貧の生活である必要はないけけど、勝手なイメージでは貧しい学者だったので、一番の驚きはそこ。それにしても有名な親を持った子供の勘違いは辛い。