ジェフリー・アーチャーの「運命のコイン」を読んだ。アーチャーを最初に知ったのはNHKで放映されたテレビドラマ「ケインとアベル」。
ドラマがよく出来ていたので、原作を読んだ。1981年アーチャー初体験。以来40年以上(すべてではないけど)アーチャーを読み続けている。
欧米のウェルメイドなストーリー作家。毎回毎回良く物語が練られているなと感心する。
「運命のコイン」はソ連時代のロシアから話が始まる。レニングラード(サントペテルブルク)の少年アレクサンドル。労働組合を作ろうとした父が秘密警察(KGB)に妨害され、父は殺される。残された母と息子は叔父の助けを借りてソ連を脱出する。
この小説の仕掛けは、この脱出から物語がパラレルな展開になること。一人のアレクサンドルはイギリスに渡る。そして、もう一人はアメリカ。それぞれの地で知の力で社会の階段を駆け上がる。
いつもながらといえば、いつものアーチャー・ノベル。イギリスではサーシャとして議員になる。アメリカではアレックスとして銀行家として成功。料理上手な母は、どちらの国でもレストランを成功させる。
影の主人公はプーチン大統領。この主人公のライバルになるのがウラジミールという男。裏切り、密告を繰り返しKGBの階段を駆け上がり、政界に進出。最後は大統領職を狙う。
もちろんプーチンもレニングラード(サントペテルブルク)出身。のちに、サントペテルブルク副市長になるのも同じ。
小説とはいえ、明らかに現役大統領を想定している。小説のなかではアレクサンドルが主人公だが、アーチャーが描きたかったのはプーチンのことだろう。
パラレルで物語が進行するのも、この裏物語を生かすためのテクニック。その意味ではアーチャーらしさ全開の物語。
