外出自粛で精出す読書③村上春樹の本音エッセイ「職業としての小説家」 | con-satoのブログ

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 国内外で現役作家としては圧倒的に支持者が多い村上春樹。日本で一番ノーベル賞に近い作家といわれて久しい。そんな村上春樹の本音が満載のエッセイ「職業としての小説家」を読んだ。

 

 

 村上春樹の本はたくさん読んでいる。しかし、小説家として好きなのは、現役では宮本輝、林真理子。(最近なら、この二人に原田マハ)この二人はどの本を読んでも外れがない。その点、村上春樹の小説は好き嫌いがわかれる。(「ノルウェイ」「スプートニク」は好き「IQ84」は嫌い)

 しかし、エッセイはどれも面白い。学生時代、村上春樹のエッセイを読むことを目的に「週刊朝日」を買っていた。この人の淡白な性格がエッセイにはぴったり。それでいてシニカルさもある。スィート&ビターのバランスが絶妙なのだ。

(林真理子のエッセイはおばさんノリが過ぎる。(若い時に彼女のエッセイは抜群だったけど)宮本輝のエッセイも面白いけどイジワルおじさんぶりが全開すぎてエグい。)

 そんな村上エッセイの系譜としては、このエッセイは異例。いつもの軽妙さではなく、かなり真面目。それは小説家としての本音を語っているから。文壇の異端児。ゆえに賞に恵まれず。しかし、それをかえって心地よいとする作家。確かに他の作家にしてみれば「変わった人」なのだろうと思う。文学賞への疑問も隠さず、審査もしない。いつもより鋭角なエッセイなのだ。それでも、この人の本音には頷けることばかり。