岡田准一主演の時代劇「散り椿」。原作は直木賞作家、葉室麟。監督は原作に惚れ込んだ木村大作。黒澤明の時代から撮影監督をしていて、70代になって映画監督デビューした鬼才。日本映画を知り尽くした監督から、全面の信頼を勝ち得た岡田准一の殺陣に魅せられた。とにかく美しい。
物語は葉室麟らしい。どんな境遇になろうとも矜持を忘れない人間像が描かれる。運命に翻弄されながらも自分を見失わない人々。現代劇では表現できない、時代劇だからこその理想の人間のあり方。
それを演じる俳優が皆、美しい佇まい。西島秀俊、黒木華、麻生久美子、池松壮亮、緒形直人など、そうそうたる顔ぶれで、日本のはかない美を表現している。
そんな、そうそうたる俳優たちの中で目を引いたのが、若殿として出演した渡辺大。凛々しい若殿、まるで渡辺謙の若い時の生き写し。あっと息を飲んだ。
これぞ日本映画。年に一本はこんな正当な日本映画を観たい。そう思う。監督が絶賛する岡田准一は三船敏郎にも、高倉健にも通じる映画俳優の魅力をスクリーンから観客に伝えることのできる稀有な俳優になった。
(葉室麟の小説をもっと読みたくなった)
