「アウトレイジ」1作目を観た時は、衝撃的だった。ヤクザ映画というと東映映画のイメージが強い。東映の場合、切った張ったが見せ場。ある意味、時代劇の現代版の要素がある。東映という会社の色を考えるれば、当然。その分、見せ場中心にならざるを得ない。スターがいて、切った張ったの見せ場があるのだから、ある程度リアリティは犠牲になる。
「アウトレイジ」が新鮮だったのは、ヤクザの抗争を描いているのに、アクションのカタルシスで見せていないこと。時代の変化があり、ヤクザの形が変わったということがあるにせよ、抗争はあくまでも手段。出演者も、およそヤクザのイメージからかけ離れた加瀬亮や三浦友和など。
一方「孤狼の血」の主人公は刑事。といっても、世の中の常識から見ればヤクザ同然の存在。ヤクザ以上に悪かもしれない男。
監督は、まだ40代の白石和彌。若松孝二門下の監督だけに、ヤクザな世界をリアルに感じているのだろう。若松孝二は若い時、新宿でヤクザをしていたと公言して憚らなかった。新宿のさまざまな人が、自分を育てたのだと生前語っていた。
若い白石監督は、そんな師匠の後姿を見て、映画を学んだ。しかし、白石監督の感性は、若松孝二のコピーではなく、若松孝二を咀嚼しながらも、彼独自のスタイルを築き上げている。そんな姿を天国の若松孝二は喜んで見ているのではないか。
