チャン・イーモウの新作「妻への家路」を観た。イーモウ監督作品。日本では獲得デビュー当時から格別人気が高かった。「紅いコーリャン」「菊豆」「紅夢」など軒並みヒット。チェン・カイコーと並ぶ「中国第五世代」を牽引する監督だった。コン・リーとのコラボの作品群。プラベートでも関係の深かった二人のコンビ作品が日本人の中国へのイメージそのものだった。コン・リーからチャン・ツィーイーにヒロインが交替した「初恋のきた道」が公開された20世紀末まで、日本人はチャン・イーモウを愛した。しかし、中国の劇的な経済発展と共にチャン・イーモウの作風も変わっていった。「LOVERS」や「HERO」のような大作の監督になり。さらに紫禁城でのオペラ演出から北京オリンピックの演出まで「国家行事」への関わりを増やして行く。それに反比例して映画作家としての評価は低くなっていった。2011年には国の意向を強く反映したような南京虐殺映画「FLOWER OF WAR」を監督。中国国内では記録的な大ヒット。しかし、欧米では賛否両論。否定意見には「欧米人は南京虐殺を理解していない」と政府人のようなコメントした。この映画、日本では未公開のまま。今回の「妻への家路」は、チャン・イーモウの昔に戻ったような作風。果たして、チャン・イーモウは映画作家として独立したスタンスを保てるのか。それでも中国の経済に飲み込まれるのか。それを考えさせられた新作だった。