イングマル・ベルイマン監督。スウェーデンの監督という小さな枠には収まらない「世界的な巨匠」。日本で例えれば黒澤明。その巨匠の78年の名作「秋のソナタ」が再公開されている
主演はイングリッド・バーグマン。彼女もスウェーデン出身の世界的な女優。日本では名作「カサブランカ」で知られるハリウッド女優というイメージが強い。
今でも、そうなのだがハリウッドは世界の才能を吸収する。特に戦前、戦中は不安定な欧州の状況もあって、今より盛んだった。ガルボもディートリッヒもチャプリンも皆欧州からやって来た。戦中、戦後のヨーロッパからのスターのシンボル的存在がバーグマン。
そんな大スターが晩年になって故郷の大監督とくんだのが、この「秋のソナタ」。
バーグマンが演じるのは国際的な活躍をするバイオリニスト。彼女には二人の娘がいる。リブ・ウルマン演じる長女の招き。普段、疎遠になっている親子の7年ぶりの再会。これがドラマの中心。
といってもベルイマン映画。甘い再会ではない。もう一人の娘は障害を持っている。バーグマン演じる母親は、そんな娘の面倒は見ていない。仕事を理由に施設に預けたまま。姉は母に内緒で妹を引き取る。そして、母に再会させる。それは優しされてではなく母に対する復讐でもあった。
恐い映画。人間の奥に潜む闇の心。この巨匠は怯む事なく暴き出す。この厳しさ。北欧の自然のままのような寒いドラマ。名女優バーグマンとリブ・ウルマンの火花散る演技。
そんな激しいやり取りの後のエンディングも凄い。互いに何もなかったように日常に戻る。別れゆく母娘。なんて妥協のない人生。甘えなど許さないベルイマンの丹精な顔のような映画。バーグマンは、この映画が遺作。3度のアカデミー賞に輝いた名女優は最後まで緩みのない演技を観客に見せた。
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